Microsoft 365のOfficeアプリでの業務を格段に効率化するCopilot。リリース時には、契約できる要件が大企業で導入するMicrosoft 365 Enterpriseに限られていましたが、中小企業や教育機関などでも導入できるようになってきています。これから導入するために気をつけること、準備する方法を確認しましょう。

Copilot for Microsoft 365の契約要件

OfficeアプリでCopilotを使うには、前提条件として、Microsoft 365を契約していることが必要です。

● 大企業では、Microsoft 365 E3、E5、F3またはOffice 365 E1、E3、E5のライセンスが対象です。
● 一般法人では、Microsoft 365 Business Basic、Business Standard、Business Premiumのライセンスが対象です。
● 教育機関ではMicrosoft 365 A3 または Microsoft 365 A5 for Facultyのライセンスが対象です。

いずれの場合も、Copilotの1ユーザーあたりの価格は年間契約で59,356円、1月あたり4,946円（2024年5月現在）です。契約中のMicrosoft 365の価格＋Copilotの価格が生じます。

HYPER VOiCEでもお伝えしているように、業務の一部を自動化できることで生じるメリットは大きく、新たな人員を雇うよりはコストがかからないとも考えられそうです。

Copilotのセキュリティ

各種生成AIには著作権法への抵触やセキュリティなどのリスクが生じる可能性があります。機密情報であるソースコードのバグの修正を生成AIに依頼したところ、そこから情報漏えいが生じたケースなどが過去に起きています。

Copilot for Microsoft 365は組織のポリシーと統合することでデータのセキュリティとプライバシーが確保されるようになります。ほかのMicrosoft 365のサービスと同様に、アクセス制御を設定したうえでコンテンツを利用するようになっているため、部外者がCopilotで用いた機密データを閲覧することはできません。

アクセス権の設定にミスが起これば、情報漏えいのリスクが高まりますので慎重に行う必要があります。

逆に言えば、設定さえしっかり行っていれば、Copilotから機密情報がもれるリスクは極めて低い安全なAIだということです。

Copilotの準備方法

Copilotのアクセス権の設定方法は、Microsoftのサイトに複数の方法が記載されています。

Microsft 365管理センターから割り当てる方法

1. 　Microsoft 365管理センターにサインインします。
2. 　「課金ライセンス」に移動し、「Copilot for Microsoft 365」を選択します。
3. 　製品の詳細ページで、ユーザーにライセンスを割り当てます。

ユーザーが追加されたか確認する場合には、「ユーザー」＞「アクティブユーザー」の順に移動します。

ライセンスが割り当てられたユーザーは、自動的にMicrosoft 365 AppsにCopilotが表示されるようになります。

PowerShellスクリプトを使用して割り当てる方法

1. 　PowerShellスクリプトをダウンロードします。

ダウンロードリンク
https://download.microsoft.com/download/8/9/d/89d41212-7ece-414c-b6d3-f4ecb070c613/ConfigureM365Copilot.ps1

2. 　管理モードでWindows PowerShellのインスタンスを開きます。
3. 　下記コマンドを入力し、Enterキーを押します。

'Set-ExecutionPolicy unrestricted'

4. 　PowerShellのスクリプトの指示に従います。
5. 　Search 管理またはグローバル管理アカウントのEntra IDアカウントでサインインすることが求められます。

● テナント内のBing、Edge、WindowsでCopilot for Microsoft 365の現在の状態を取得する場合は、次のコマンドを実行します

'.\ConfigureM365Copilot.ps1'

● Bing、Edge、WindowsでCopilot for Microsoft 365を有効にする場合は、次のコマンドを実行します。　

'.\ConfigureM365Copilot.ps1 -enable $true'

● Bing、Edge、Windows でCopilot for Microsoft 365をオフにする場合は、次のコマンドを実行します。　

'.\ConfigureM365Copilot.ps1 -enable $false'

Microsoft Purviewによるデータのセキュリティとコンプライアンスの保護

まだプレビュー段階ではあるのですが、Microsoft Purview AI HubとほかのMicrosoft Purviewを組み合わせると、組織内のAI使用に関する分析情報が可視化されるようになる予定です。

例えば、Microsoft Purview Information Protectionに「秘密度ラベル」というものがあるのですが、これを設定すると、生産性と共同作業の能力を落とさずに組織内のデータを分類し、保護できます。

具体的には、未承認のユーザーが該当データにアクセスできないよう、メールや会議出席依頼、ドキュメントが暗号化されます。各データに対して、アクセスや編集可能な権限をユーザーあるいはグループごとに選択できます。あわせて権限の期間も設定可能です。

組織内のユーザーは編集可能、組織外のユーザーは表示のみ可能といった区別もできます。

Microsoft Copilotとの違い

個人で契約できるのは、今のところMicrosoft Copilotのみです。こちらは、Microsoft Officeと直接連動はしていませんが、Excelの関数を生成したり、PowerPointの無料テンプレート提供サイトを紹介したり、といった使い方もできます。

Copilot for Microsoft 365のように、Officeアプリでの業務を自動化することはできませんが、契約しているMicrosoft 365のライセンスがCopilot適用ではないときは、こちらをうまく業務に取り入れるといいでしょう。

Microsoft Copilot の法人向けライセンスは当社でも販売しています。

こちらから
https://www.saas-maru.com/item/384

まとめ

・Copilot for Microsoft 365は一般企業や教育機関でも利用できるように
・アクセス権限を細かく設定できるため、情報漏えいのリスクは少ない
・アクセス権の設定方法は複数ある