クラウド市場は拡大していますが、一部でオンプレミスに回帰する潮流もあると言われています。それはどういう理由からなのか。オンプレミス、クラウドそれぞれのメリット・デメリットと、どちらを選ぶべきなのかを今一度考えてみましょう。

オンプレミス回帰はどれくらい進んでいる？

2006年にクラウド（クラウドコンピューティング）という言葉が登場してから、従来のオンプレミス（on the premises）からクラウドに移行する企業が増加の一途を遂げています。「情報通信白書2023」によると、2022年度のクラウドサービス市場規模（売上）は2.2兆円で前年比29.8％となっています。

その状況下でどれくらいオンプレ回帰が進んでいるのかというと、明確には分かっていません。なぜならオンプレ回帰という表現があいまいだからです。いったんクラウドに移行してからオンプレミスに戻す、あるいはクラウド移行を計画していて試用後にオンプレミスのまま運用することにした、クラウドに移行することなく従来通り運用する等、さまざまなシチュエーションがあり、どこまでがオンプレ回帰と言えるのか明確になっていません。

ただ、各種アンケートでは、クラウドからオンプレミスに戻した、または、戻す予定があると回答した企業も多く存在していることから、オンプレ回帰があることは間違いありません。

オンプレミスとクラウド、それぞれのメリット・デメリット

オンプレミスとクラウド、どちらを選べばいいのか、そのメリット・デメリットを見てみましょう。

オンプレミス

オンプレミスの最大のメリットは柔軟にカスタマイズできることにあります。クラウドのような制約が一切ないため、コストとリソース次第では機能の拡張や容量の追加、自社で利用してきたシステムの連携などが自由に設定できます。

セキュリティ面でも、自社独自の対策が可能で、設定次第ではクラウドよりも高い機密性をもたせられます。外部ネットワークと遮断すれば、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクも低減できます。そのため、金融機関や個人情報などを扱う企業は、オンプレミスを選択する傾向にあります。

クラウドではしばしばネットワークダウンで一定時間利用できなくなるインシデントが発生しますが、オンプレミスでは外部ネットワークの影響を受けることはありません。

また、オンプレミスには、毎月の運用費用がほぼ一定で予算が立てやすいというメリットもあります。

一方、オンプレミスは、サーバーを自社で構築する必要があり、初期費用が高額になってしまいます。さらにサーバールームの設置や空調などにかかるランニングコストや管理スタッフの雇用などの費用もかかります。

クラウドに比べて構築の時間がかかることもマイナス要素です。

社外からのサーバーアクセスが多い場合も、クラウドのほうが優位でしょう。

クラウド

クラウドは、サーバーを購入する必要がなく始められるため、初期費用が大きく抑えられます。また、サーバールームも当然不要なので、家賃支出なども低減できます。

契約後、早ければその日のうちに利用できるのも大きなメリットでしょう。スモールスタートで徐々に拡大することもできます。

サーバーの管理やセキュリティに関しては、クラウドを供給するベンダー側で行い、専門スタッフが不在でも導入できる手軽さもあります。

ほとんどのクラウドが従量課金制になっているため、不要なコストが削減できます。

その一方で、予定していた予算を超えてしまうケースもあるため注意が必要です。特に長期運用になり、容量が増えたり、システム構成を拡張したりすると、オンプレミス以上のコストがかかってしまうこともあります。

サービスやセキュリティ、管理などをベンダーに任せられるため、規模の小さい企業やIT部門のない企業でも導入しやすいのですが、反面、カスタマイズに劣るデメリットがあります。

オンプレミスとクラウド、それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらがいいのかは、用途や運用方法などで決めるといいでしょう。

Windows Server 2012/2012 R2サポート終了後の移行先は？

2023年10月10日に、Windows Server 2012/2012 R2の延長サポートが終了します。その移行先は、オンプレミスとクラウドのどちらが適しているのでしょうか。

オンプレミスを選んだほうがいいのは、重要な機密情報を抱えているケース、従量課金制では予算が立てにくく困るケース、カスタマイズの自由度を求めるケースなどになります。

一方クラウドは、サーバーを置くスペースが確保できないケース、IT専門のスタッフを抱える余裕がないケース、初期費用を抑えたいケースなどが考えられます。

また、どちらかに絞らず、オンプレミスとクラウドを併用し、使い分けるハイブリッドもおすすめです。

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まとめ

オンプレはカスタマイズの自由度が高い
クラウドは専門知識がなくても始められる
どちらがいいかは、利用目的等による