近年はさまざまな業界でAI活用が進んでいますが、証券業界もその1つ。では証券業界ではどのようにAIが使われているのでしょうか。今回は証券業界におけるAI活用事例を紹介します。

証券業界におけるAI活用の現状

業界の中でも、例えば大和証券では2023年4月、全社員約9,000人を対象に「ChatGPT」を導入。同社はさらに2024年3月にはプロンプト（指示文）不要でChatGPTを業務活用できる生成AIアプリケーション「Speech2Summary」を開発し、業務利用を進めています。

一方、業務でのAI活用だけでなく、投資家向けサービスにAIを組み込む動きも加速しています。後述するSMBC日興証券の「AI株式ポートフォリオ診断」はその名の通り、AIがポートフォリオ（運用商品の組み合わせ）の提案および診断をしてくれるというサービス。また、AIが銘柄のピックアップ＆1か月後の株価の上昇or下落を予想するマネックス証券の「AI銘柄ナビ」というサービスも提供されています。

証券業界はユーザー情報や取引データなどの膨大なデータを所有しています。今後はそれらデータを用いたAI活用が進んでいくことが期待されます。

証券業界におけるAI活用事例5選

証券業界における具体的なAI活用事例を5つ紹介します。

AIアバターアナリスト「AIハッチ」｜マネックス証券

マネックス証券の「AIハッチ」とはチーフ・外国株コンサルタント岡元兵八郎さんのアバターのこと（「ハッチ」とは岡元兵八郎さんの愛称）。マネックス証券では2024年1月にAIハッチが出演する以下動画を配信しました。

【AIハッチ】S&P500の2024年末のターゲットは5,200ポイント、年前半に調整あれば買いの好機か

動画には「すごっ！」「声がそっくりで驚きました」というコメントも寄せられています。2024年7月時点でAIハッチが使われた動画1本のみ。ただ、マネックス証券含め各証券会社はYouTubeでの発信を強化しており、今後良質なコンテンツの量産を目的にAIアバターの活用が広がるかもしれません。

AI株式ポートフォリオ診断｜ SMBC日興証券

SMBC日興証券の「AI株式ポートフォリオ診断」はAIが「① 新規ポートフォリオ（運用商品の組み合わせ）提案」および「② 保有ポートフォリオのリバランス提案（運用商品の見直し・調整）」を行う、投資家向けのサービスです。同サービスでは、現代ポートフォリオ理論および株価予測AIによる収益性のスコアを基に、より効率的な運用が見込めるポートフォリオを提案します。同サービスを使えば、証券会社の営業員やファイナンシャルプランナーといった“人”だけでなく、“AI”にもポートフォリオを診断してもらうことができます。

売買審査業務における人工知能（AI）活用｜大和証券

大和証券では相場操縦含む不公正取引を監視するコンプライアンス業務において、AIを活用しています。具体的にはNECの「AI 不正・リスク検知サービス for 証券」および大和総研が開発した「AI 不公正取引検知モデル」の活用により、不公正取引審査の強化を図っています。なお、「AI 不正・リスク検知サービス for 証券」は取引のリスク度合いをスコアリングするサービスですが、大和証券の他にもSBI証券が導入済みです。

SBIラップ AI投資コース｜ SBI証券

まず「SBIラップ」とはSBI証券におまかせで資産運用ができるサービスです。そしてSBIラップは「AI投資コース」「匠の運用コース」の2コースがあり、その内「SBIラップ AI投資コース」は、その名の通り、AIを活用して資産運用を行うコースです。同コースでは、AIが40種類以上のマーケットデータ等を用いてリターンの予測値を算出したり、AI予測に基づき自動で投資配分を変更したりします。ちなみにもう一つの「匠の運用コース」は、AIやシステムに加え、運用調査のプロの知見も組み合わせて資産運用を行うコースになります。

投資AIアシスタント｜楽天証券

楽天証券の「投資AIアシスタント」は無料で使える生成AI搭載のAIチャットです。同サービスを使えば、24時間いつでも投資に関する相談をすることができます。楽天証券によると、同サービスは最新技術の生成AIを搭載しており、まるで人間とその場で話しているように会話ができるとのこと。実際に試してみたところ、「投資する銘柄はどうやって選べばいいの？」という質問に対しては以下のような回答がありました。

このように回答内容によっては関連するリンクや質問も掲示してくれます。とくに投資を始めて間もない方にとっては心強い相談相手になるかもしれません。

まとめ

他の業界と同様に、証券業界でも業務および提供サービスにAIを活用する動きが進んでいる
例えば、大和証券ではコンプライアンス業務にAIを活用している
楽天証券の「投資AIアシスタント」には投資に関する各種相談をすることができる

ユーザー数無制限で月4万円！法人向け生成ＡＩ活用 | ナレフルチャット

詳細はこちら：https://hypervoice.jp/knowlefulai