Microsoft Defender for Businessは、Microsoftが提供する従業員300名以下の中小企業向けEDR（Endpoint Detection and Response）です。ランサムウェアなど巧妙化するサイバー攻撃に対し、ウイルス対策ソフトなどEPP（Endpoint Protection Platform）と呼ばれる従来型のセキュリティ製品だけでは企業のITシステムを守ることが困難になっています。そこで登場したのがDefender for BusinessなどのEDRです。

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Defender for Businessの特徴

中小企業向けのセキュリティ製品ではあるものの、MicrosoftはDefender for Businessによって大企業と同じレベルのセキュリティ性能を提供すると明言しています。24時間365日体制で脅威に対するリアルタイム保護、検出、対応のサービスを提供しています。

Defender for Businessはクラウドサービスとして提供されているため、専用のサーバーを用意する必要がありません。導入も容易で、Windows Updateによって自動的に更新可能です。

EPPはマルウェアの攻撃パターン（シグネチャ）を用いてマルウェアを検知し、脅威の侵入を阻止する仕組みです。また、近年では振る舞い検知などシステム内に侵入した不審なマルウェアを検知する「NGAV（Next Generation Anti-Virus）」などもEPPと呼ばれています。なお、Windowsに標準搭載されているMicrosoft DefenderはEPP製品です。

一方のEDRは、ネットワークに接続しているエンドポイントの操作や動作を常時監視し、サイバー攻撃を迅速に発見して対策する機能を提供しています。なんらかの異常を検知すると、管理者に異常を通知するだけでなく、サイバー攻撃からシステムを守るためにネットワークの遮断や封じ込めなどさまざまな対策を自動的に実行します。また、監視ログ等の分析によって被害状況を明らかにするといった機能も持っています。つまり、EDRとEPPは補完関係にあるわけです。

EDRを提供するには、ベンダーにセキュリティに対する高い知見や対応力が求められます。Microsoft は米国国防総省に次いで二番目にサイバー攻撃を受けている組織だと言われており、セキュリティ対策や研究開発にも多額の投資を続けています。たとえばMicrosoft サイバー防御オペレーションセンター(Cyber Defense Operations Center：CDOC)では、24時間365日体制でサイバーセキュリティの専門家とデータサイエンティストがリアルタイムで脅威に対抗しています。当然Microsoft のセキュリティに対する知見や能力は、世界最高水準であることを第三者機関からも評価されています。

Defender for Businessの機能

Microsoft自身が「Windowsを知り尽くしたセキュリティツール」と言うように、Defender for Businessの最大の特徴はWindows との親和性の高さです。

EDR機能の一部は既にWindows OSに組み込まれており、Defender for Businessを導入するとWindowsに組み込まれた機能を有効化（オンボード）します。Windows OS のカーネル領域まで詳細に監視や対策が可能であるため、カーネル領域への攻撃や、カーネルの動作を模倣するような攻撃に対しても効果を発揮します。

また、Windows OSへの負荷も最小限に抑えられているほか、通信データも1デバイスあたり1日5MB程度です。

Defender for Businessは次のような機能を提供しています。

脅威と脆弱性の管理

企業システムのセキュリティ状況をスコア化して改善方法を提案してくれるほか、脆弱性への対応状況を確認できます。また、最新の脅威情報、および自社への影響や対策を確認することも可能です。

攻撃面の減少

サイバー攻撃可能な範囲を極小化するため、悪用されそうなプログラムのブロック、危険なWebサイトへのアクセスをブロック、利用可能条件を満たしていないデバイスの特定といった機能を提供しています。

次世代の保護（ウィルス対策）

Defender for Business と組み合わせることで、Windows に標準搭載されているMicrosoft Defenderの機能も強化され、スキャン実施状況やウイルス対策状態を統合管理できるようになります。

アラートの検出と保護（EDR）

ふるまい検知、不審なアクティビティの検出など脅威の発生を自動的に検知し、アラートを通知します。デバイスに対する操作を選択するだけで脅威に対処できます。

自動調査と修復

AI を活用し、脅威に自動で対処する機能です。セキュリティの専門家が少ない企業においても、迅速にサイバー攻撃による被害を最小限に抑えることができます。

セキュリティ統合管理

脅威に関する情報やアクション実行をダッシュボード形式で統合的に管理します。

要件と利用可能なプラン

Defender for BusinessがサポートしているOSとブラウザは以下の通りです。

● Windows 10/11 (Business/Professional/Enterprise)
● Mac (最新の 3 つのリリースがサポートされています)
● iOS
● iPadOS
● Android

※ただし、iOS、iPadOS、Androidには、Microsoft ituneが必要です。

EDRは高価なセキュリティ製品というイメージがありますが、Defender for BusinessはMicrosoft 365 Business Premium に含まれています。また、Microsoft 365のサブスクリプションを契約していなくても、1ユーザーあたり月額380円で利用可能な単体プラン Microsoft Defender for Businessも用意されているところも魅力的です。

ランサムウェアなどのサイバー攻撃は、ますます深刻な脅威となっています。

サイバー攻撃の標的となるのは規模の大きな企業だけとは限らず、サプライチェーンで大企業と繋がっている中小企業を狙った攻撃も増加しています。すべての組織がセキュリティを強化しなければならない時代において、高度なセキュリティ対策を手軽な価格で実現できるソリューションを求める声が高まっています。

Defender for Businessが、中小企業にとって非常に魅力的なセキュリティ製品の選択肢一つであることは間違いないでしょう。

まとめ

Defender for Businessは、Microsoftが提供するクラウド型の中小企業向けEDR
Windowsとの親和性が高く、更新もWindows Updateで可能
Defender for Businessは、Microsoft 365 Business Premiumに含まれている

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