生成AIをビジネスで活用する企業が増えています。とりわけChatGPTに代表されるようなテキスト生成に特化したLLM（Large Language Mode：大規模言語モデル）は、ビジネスのあらゆる分野で利活用されている技術です。

競争が激化しているLLMは、驚くほど進化が速く、同時に多様性を持つようになっています。ここでは2025年6月現在において、SaaSとして提供されている主要LLM「GPT-4o」「Gemini」「Claude」を中心に、それぞれの機能や強み、価格などを比較し、自社のビジネスに合うLLMを検討します。

主要なLLMの特長

AI技術競争の中心とも言えるLLMは、それぞれが特長を持っています。

GPT-4o

OpenAIが開発しているGPT-4oは、テキスト、画像、音声、動画などマルチモーダルに対応した汎用的なLLMです。

社内の業務において、さまざまな種類のコンテンツ (モーダル) をあつかう必要がある場合、最初の選択肢として挙げられるのではないでしょうか。

日本語環境でも自然な表現の文章が生成されるため、資料やメールなどの下書き作成に利用しやすいという特徴があります。また、プログラミングコードの生成、主要なビジネスアプリケーションの設定やマクロの作成のサポートなども得意です。

Gemini

Googleの開発するGeminiも、GPT-4oと同じくテキスト、画像、音声、動画などマルチモーダルに対応しています。

Googleの開発したLLMらしく、Google製品との連携や動画解析を必要とするユースケースで威力を発揮します。リアルタイムで検索情報を統合して回答を生成することもできるため、最新情報や事実ベースの回答を必要とする業務での利用に強みを持っています。

最近ではPC画面 (スクリーンショットやUIの画像) を読み取って、内容を理解・解釈し、質問や指示に応じてくれる機能や、Meetの会議の音声を聞き取って議事録を作成する機能が人気となっています。

Claude

Anthropicの開発するClaudeは、長文処理や長いプログラミングコードの生成に定評のあるLLMです。

音声や動画には対応していませんが、画像やPDFなどに含まれる表・図・数式などを一緒に分析する業務に高い能力を発揮します。

LLMによっては長文過ぎると要点がぼやけてしまうケースもあるのですが、Claudeはこうした現象が起きにくいと言われています。そのため、論理構造や図形要素を正確に把握し、論理的で丁寧な表現の日本語で回答を生成するため、企業の技術文書や大規模開発プロジェクトに適しています。

機能比較

それぞれのLLMの機能を比較すると、以下のようになります。

	GPT-4o	Gemini	Claude
コンテキスト長	128K トークン	2M トークン	200K トークン
マルチモーダル	テキスト、画像、音声、動画	テキスト、画像、音声、動画	テキスト、画像、音声(一部のみ)
商用利用	可能	可能	可能
出力の著作権	ユーザーに帰属	ユーザーに帰属	ユーザーに帰属
著作物の扱い	出力は再利用OK。	出力は再利用OK。	出力は再利用OK。
学習データに関する制限	ユーザーデータは学習に使用しない	ユーザーデータは学習に使用しない	ユーザーデータは学習に使用しない
法人向けの保証	Enterpriseプランでデータ保持・IP保証付き	Vertex AIなどで明確なSLA提供	API利用で同様に対応可能（米国ではSOC2も取得）
言語サポート	多言語	多言語	多言語

コンテキスト長

コンテキスト長(Context Length)とは、LLMが一度に「文脈」として理解・保持できるトークンの最大数です。トークン数が多い方が、書籍や論文などの長文を理解することができます。

トークンは、文章をモデルが処理しやすい単位に細かく分けた“断片”なので、英語などでは単語ごと、日本語などでは文字や助詞の単位であつかわれることが多いという特徴があります。単純な文字数ではないため、英語よりも日本語の方がより多くのトークンを必要とする傾向があります。

主要LLMの中では、Geminiが最もトークン数が多く、次いでClaude 、GPT-4oの順となります。

ただし、単純に長ければ良いというわけではなく、長くなるほどコストが高くなり、処理時間も長くなります。

商用利用および著作物の扱い

生成された出力（テキストやコードなど）は、いずれのLLMも「ユーザーに帰属」とされています。つまり、AIが出力した文章やコードを、企業資料・Webページ・アプリに組み込んでも著作権侵害にはなりません。ただし、出力内容が第三者の著作物に類似する可能性があるため、商用出版や広告利用には注意が必要です。公開資料や出版物で使用する場合には、法的なリスクがゼロではないことを認識することが大切です。

学習データに関する制限

基本的にいずれのLLMでもユーザーデータを学習には使わないと明記しています。特にClaudeは、リリース当初から「Constitutional AI（原則に従うAI）」を掲げており、ユーザーデータを使わないこと、安全性に配慮した設計が特徴です。Geminiも同様に、WorkspaceやAPIのデータは再学習には使用しません。ただし、GPT-4oは、「有料プランやAPIではユーザーデータを学習に使わない」と、無料版では規約の保障が曖昧な部分があるため、企業で利用する場合には有料プランを使用することを推奨します。

料金比較

LLMごとにいくつかの料金プランがあります。以下に主要LLMの有料サービスの価格を一覧で示します。(2025年6月現在)

サービス名	料金
GPT-4o
API利用 (GPT-4o)	入力: $5.00 / 100万トークン出力: $20.00 / 100万トークン
API利用 (GPT-4o mini)	入力: $0.60 / 100万トークン出力: $2.40 / 100万トークン
ChatGPT Plus	月額 $20
ChatGPT Pro	月額 $200
ChatGPT Team	年間契約: 月額 $25 / ユーザー月額契約: 月額 $30 / ユーザー
ChatGPT Enterprise	要問い合わせ
Gemini
Gemini Advanced	月額 2,900円 (初月無料)
Gemini API (Gemini 1.5 Pro)	128K以下：
Gemini API (Gemini 1.5 Flash)	入力: $0.10 / 100万トークン (音声: $0.70 / 100万トークン)
Gemini Code Assist Standard	年間契約：月額 $19 / ユーザー
Gemini Code Assist Enterprise	年間契約：月額 $45 / ユーザー
Claude
Proプラン	月額 $20
Maxプラン	月額 $100 / 月 (Proの5倍)
Teamプラン	年間契約: 月額 $25 / ユーザー
Enterpriseプラン	要問い合わせ

LLMごとに機能が異なることから単純な料金比較は難しいのですが、トークン単価で見れば、「Gemini 1.5 FlashのAPI利用」や「GPT-4o miniのAPI利用」が安いと言えます。しかし、業務として長文解析などに高い精度を重視するのであれば、Claudeのいずれかのプランを選択することになるのではないでしょうか。

Microsoft CopilotとGPT-4oの違いについて

「Copilot（コパイロット）」は、Microsoftが提供するAIアシスタントのブランド名で、Microsoft のOffice製品などを始めとして、さまざまなMicrosoftのサービスに組み込まれています。MicrosoftはOpenAIと親密な提携関係を維持しているため、CopilotのベースモデルとしてOpenAIのGPT-4（GPT-4 Turbo）を採用しています。しかし、Microsoftにおいて機能拡張や機能追加が行われているため、まったく同じではありません。

主な違いをまとめると、以下のようになります。

Microsoft の各種サービスと連携
データ検索・RAG (Retrieval-Augmented Generation)の組み込み
Azure Active Directoryベースの高いセキュリティ機能
組織単位でのポリシー管理

なお、RAG (Retrieval-Augmented Generation)とは、Geminiも得意とするLLMの前に検索エンジンや社内DBなどから関連情報を取得し、それを踏まえて回答を生成する方式です。

業務においてMicrosoftのサービスを多用している場合、Copilotの方が便利で使いやすいと感じる人も多いかもしれません。

ナレフルチャットなら4つの生成AIを全部使える | ナレフルチャット

このように4つの生成AIはそれぞれ得意分野が異なります。ただ、得意分野の生成AIを都度使い分けるのは大変です。さらに有料プランを利用するとなると、ユーザー数に応じて一定の金額がかかります。そこでハイパーがおすすめするのが、法人向け生成AIサービス「ナレフルチャット」です。ナレフルチャットでは先に紹介したChatGPT、Claude、Gemini、Perplexity含む最新の生成AIモデルを利用できます。また料金についても、月額4万円（税別）で利用人数は無制限です。利用者数が多いほどお得なサービスと言えるでしょう。そのほか、入力データが学習データとして利用されることがないため、セキュリティ面も安心です。生成AI利用による情報漏えいが不安な企業も安心して導入することができるでしょう。

詳細はこちら：ナレフルチャット - HYPER inc

なお、ナレフルチャットの基本情報や生成AIの使い分けについては以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。

関連記事：安全に使える生成AI「ナレフルチャット」

まとめ

LLMには機能や価格に違いがあり、得意な業務も異なる
主要なLLMは商業利用が可能で、出力結果はユーザーに帰属する
業務に適したLLMを利用することで、より高い効果を得られる