あらゆるモノがインターネットにつながるようになり、そのセキュリティ対策が課題となっています。オフィス内では、PCやサーバーのセキュリティはしっかりしていても、ネットワークにつながっているその他の機器への対策が見落とされがちです。今一度、対策ができているか、確認しておきましょう。

IoT機器のセキュリティ脅威

従来ネットワーク機能をもっていなかった機器がネットワークに接続できるようになり、利便性が向上したものの、脅威にさらされるリスクが高まりました。実際、IoT機器がランサムウェアやDDoS攻撃などの被害にあうケースも増えています。

被害の例を挙げると、以下のようなものがあります。

2022年ごろから、DVR/NVR（Digital Video Recorder/Network Video Recorder）のウイルス攻撃が急増しています。
また、NASやルーターに対する脅威も増加しました。

NASの脆弱性を狙うランサムウェアが数多く見つかり、機密情報の窃取などの被害が起こる可能性がありました。メーカーが即座にファームウェア更新などの対策を行い、実害が出たケースは報告されていませんが、対応が遅れれば大きな事故につながったでしょう。

その他、UPS、ビデオ会議デバイス、GPS、IP電話機、医療機器、コネクテッドカーなどでも脆弱性が見つかっていますが、メーカーによるファームウェア公開などの対策は済んでいます。ただし、この先も新たな脅威がまた生じる可能性は否定できません。

IoT機器に脆弱性が生じやすい理由

IoT機器は使用年数が長く、また、PCのようにアンチウイルスソフトが豊富に用意されていないために、どうしても対策が手薄になりがちです。

機器が故障しない限り使い続けることもありますが、その際、メーカーの保守期間が過ぎてファームウェアなどの更新ができなくなっている場合などに、リスクはますます高まります。

また、既に使わなくなっている機器がネットワークにつながれている場合も同様です。

IoT機器を入り口としてウイルスが入り込むと、オフィス内でつながっている機器全てにインシデントが起こり得るので、注意が必要です。

どんなウイルスが多いのか

IoT機器を標的としたウイルスで、特に猛威をふるっているのが「Mirai」というボットネットとその亜種です。「Mirai」はDDoS攻撃を行うマルウェアです。IoT機器が「Mirai」に感染すると、ボットがダウンロードされ、攻撃者による遠隔操作が可能になります。感染した機器をつないでネットワークが構成され、ターゲットとする機器にDDoS攻撃をしかけるようになります。

「Mirai」はランダムに検出したIPアドレスを感染先にするため、対象にIoT機器が含まれてしまうのです。

その他、「EnemyBot」というボットネットや新たなウイルスが次々に生み出されています。

サポート体制のある機器を選ぶ

安価に導入できる機器の中には、サポート体制が不十分だったり、何かあったときの相談窓口が設けられていなかったりすることがあります。

製品を選ぶときには、しっかりとしたサポートが受けられるものを選ぶようにしましょう。中古の機器を購入する場合も、サポート期間が終了していないかを確認する必要があります。

サポートがしっかりしている機器であれば、脆弱性が見つかったときに、セキュリティパッチやファームウェアなどの更新が配布されるので安心です。

また、不具合や不審な動作が見られたときには、サポート窓口に連絡するといいでしょう。

パスワードの設定に注意する

IT機器全てに共通しますが、IDとパスワードが漏れると不正利用される可能性があります。パスワードは、初期設定のまま使わない、ほかのパスワードを使い回さない、推測しやすい電話番号や住所、設立記念日などを使わないようにしましょう。

また、つい忘れがちですが、取扱説明書もしっかり読み、必要に応じてソフトウェアをアップデートしておきましょう。

使用しない機器は電源を切る

使用していない機器や、不具合が生じた機器は電源を切り、インターネットに接続したままにしないようにします。使っていない機器は特にチェックから漏れてしまいがちです。電源をコンセントから抜いておきましょう。

機器の処分前にはデータを消去する

IoT機器を処分するときには、データを消去します。PCやサーバーのようにドキュメントなどのファイルデータを持っていることはなくても、認証のために電話番号やメールアドレスなどを登録していることがありますので、この処理は必須です。

まとめ

・IoTの普及でさまざまな機器のリスクが高くなっている

・IoT機器を狙うサイバー攻撃もある

・オフィス内の機器でネットワークに繋がっているものを洗い出し、対策を