ペーパーレス化と多様な働き方の浸透により、企業のファイル保存・共有はクラウドが主流になりました。総務省の令和7年版『情報通信白書』では、2024年時点で80.6％の企業がクラウドサービスを一部でも利用しています。用途はファイル保管・データ共有／社内情報共有／メール／会計・人事／スケジュール共有など多岐にわたります。
それでも、大容量データの高速共同編集や細粒度の権限管理、長期TCO最適化を重視する組織では、NAS（Network Attached Storage）＋多層バックアップが依然有力です。本記事は、クラウドの優位性を認めつつ、NASが最適なユーザー像とNASバックアップ設計のベストプラクティスを具体的に整理します

参考ページ：令和7年版情報通信白書｜総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/r07.html

クラウド主流化とNAS再評価の背景

企業のクラウド利用率は80.6％（2024年）。特にファイル保管・データ共有など基本業務で普及が進展。
ただし、従量課金によるコスト上振れ、データ主権と細粒度アクセス制御、社内LANでの高速I/Oなどの観点では、オンプレのNASが依然有力。
バックアップ設計については3-2-1ルールが依然ベストプラクティスで、3つのコピー／2種類の媒体／1つはオフサイトを推奨。米政府機関の解説でも広く紹介されています。

そこでファイル共有の方法として見直したいのが、NAS（Network Attached Storage）です。

NASとは？クラウドとの違い

NASは社内LANに接続してファイル保存・共有を行う専用ストレージ。クラウドはインターネット越しにベンダー基盤へ保存します。

NASの強み：

社内LANで高速（大容量ファイルの読み書きが安定）
権限管理の細粒度（部署／プロジェクト単位でアクセス設計）
データ主権（オンプレで自社管理）
長期TCOの見通し（増設・拡張を自社計画で実施）

クラウドの強み：

即時利用（導入の容易さ）
場所を選ばないアクセス
スケール容易（短期の容量変動に強い）

社内高速コラボ／厳密な権限管理／長期コスト最適化を重視するならNAS＋多層バックアップが第一候補。一方で拠点分散／短期導入／可用性担保にはクラウドが有効。両者のハイブリッドが最も堅牢です。

NASが最適なユーザー／用途

以下に複数該当する場合、NAS＋バックアップを最優先候補になります。

大容量・高スループット共同作業（動画編集／DTP／3D・CAD）
機密データの細粒度アクセス管理／監査ログが必須
TB～PB級の長期保管で従量課金の増加を抑制したい
社内LAN中心のワークフロー（ネット回線品質に左右されない可用性）
データ主権／レギュレーション順守（オンプレ基盤での制御）

NASのメリット・デメリット整理

メリット

高速アクセス（LAN内で安定したI/O）
権限・共有設計の柔軟性
長期TCOの予見性（計画的に増設）
データ主権（自社で復旧計画を統制）

デメリット

初期費用（本体・HDD/SSD・UPSなど）
運用負荷（更新・監視・バックアップ設計）
リモートアクセスの安全設計（VPN/MFA/ゼロトラスト）

NASは、ネットワークにつないで使うHDD/SSDのこと。複数の機能を持つNASもありますが、基本的にはファイルを保管・共有するために用いられるものです。

NASは、各従業員の使用するPCから直接つなぐのではなく、有線LANまたはWi-Fiでローカルエリアネットワークを介して接続します。PC本体にデータを保管するのとは異なり、社内でのファイル共有が比較的楽なことや、PCに比べて消費電力が少ないことなどがメリットです。

また、NASはデータの共有範囲が細かく設定できるという特徴があります。全社員が見られるデータ、部署ごとに見られるデータ、などアクセス権をそれぞれに付与できて、機密情報を管理する際にも安心です。

導入時の価格だけで見るとクラウドの方が圧倒的に安いのですが、長期でのランニングコストを考えるとNASの方がお得、と考えることもできます。クラウドかNASのどちらがいいかを検討するなら、長期でかかるコストを確認しましょう。

バックアップ設計の基本

3-2-1ルール

3：データの3コピー以上
2：異なる2種類の媒体（例：NAS／外付け／クラウド）
1：1つはオフサイト（遠隔拠点／別クラウド）
米国CISAやNISTでも推奨。災害・誤削除・ランサムに強い基本設計。

スナップショット（瞬間復元用の世代保護）

誤削除・改変・ランサム被害から即時ロールバック。QNAPはブロックベースのスナップショット／復元を標準機能として提供。

NASのバックアップの方法は、主に以下の3つ。

NAS → ほかのNAS（レプリケーション）
長所：同等性能で迅速復旧／拠点間DRに有効
留意：帯域設計／レプリカ隔離（感染拡散防止）
NAS → 外付けHDD/SSD
長所：低コスト／オフライン退避が容易
留意：暗号化・保管ルール・棚卸の徹底
NAS → クラウド（ハイブリッド）
長所：オフサイト保全、地理的冗長化、DRの足がかり
留意：転送/保存の暗号化、課金設計（容量・エグレス）、イミュータブル保管の併用推奨（3-2-1-1-0拡張）。

おすすめのNAS「QNAP-NAS」

実際にNASの導入を検討してみたい方におすすめなのが「QNAP（キューナップ）」です。QNAPは、NASを製造する台湾のメーカーで、世界中で約700万人ものユーザーを抱えています。QNAPが注目されているのは、次のような機能があるからです。

わかりやすいGUI
QNAPのNASは、操作画面が分かりやすく、ITリテラシーが高くなくても設定・管理できます。専用ダウンロードサイトApp Centerで業務に合うアプリケーションが追加し、NASの機能を強化します。

バックアップが容易に
無償で利用できるソフトウェアQNAP HBS3により、レプリケーションやバックアップも簡単にできます。バックアップソフトウェアを別途購入する必要はありません。

ファイルを復元できるスナップショット機能
スナップショット機能で、誤って削除したファイルや万が一ランサムウェアに感染したファイルも復元が可能です。

テレワークや出張時にもNASにアクセス可能
社外からNASへのアクセスできて、テレワークにも便利。PCのWebブラウザーからアクセスできるほか、iPhone、Androidなどスマートフォン・タブレットからはQfileというアプリを通して利用できます。この手軽さは、SaaS型のクラウド同様です。

リプレースも簡単
システム担当者がチェックしておきたい点としては、NASを買い換えることなく容量を増やせること、本体をリプレースする際はHDDを載せ替えるだけ、という点です。

SSD／HDDから組み合わせ自在
高速化を図りたいときは、SSDを利用することもできます。ただし、SSDは価格が高いので、HDDとSSDの組み合わせで機能性を高めながら経費を抑えるといった使い方がいいでしょう。

QNAPはNAS専業メーカーとして品質とコストパフォーマンスを両立

FAQ

Q1. 令和7年版の最新統計は？
A. 2024年時点で80.6％の企業がクラウドサービスを一部でも利用。用途はファイル保管・データ共有などが高い。

Q2. RAIDを組めばバックアップは不要？
A. 不要ではありません。RAIDは可用性（冗長化）が目的。誤削除／改変／災害への備えは3-2-1バックアップが担います。

Q3. ランサムウェア対策としてNASは安全？
A. スナップショット＋イミュータブル／権限最小化／ログ監視で復元可能性が高まります。

Q4. 社外からNASへ安全にアクセスするには？
A. VPN／MFAを前提に、Qfile/Qfile Proでモバイルから安全アクセス・共有が可能。

Q5. 推奨バックアップ頻度は？
A. 日次スナップショット＋週次レプリカ＋月次オフサイトが目安になります。

まとめ

NASは社内高速・細粒度の権限・長期TCO最適化に強い。
バックアップは3-2-1＋スナップショット（可能ならイミュータブル）が基本。
QNAP-NASならHBS3でNAS→NAS／NAS→クラウドのバックアップ構成をGUIで容易に設計可能。

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