少子高齢化の影響や価値観の多様化により、企業の採用活動は難易度を増しています。

そのため、自社の魅力を直接伝えられる採用サイトの重要性も高まっているのですが、「応募につながる採用サイトにしたいものの、具体的にどう進めればよいか分からない」と悩む企業も少なくありません。

そのような状況から、採用サイトを制作会社に丸投げしてしまう企業も少なくありません。

もちろん、プロに任せるのは有効な手段のひとつですが、完全に任せきりにしてしまうと、効果の出る採用サイトから遠のいてしまう可能性もあります。

今回は、なぜ採用サイト制作の丸投げはよくないのかを踏まえながら、制作における「社内巻き込み」の重要性やポイントについて解説します。

サイト制作を丸投げにするのはNG？

採用サイトの制作を検討する際、制作会社への発注を検討されるパターンが多いと思います。

「プロに任せれば、見た目も整ったしっかりしたサイトができる」。

そんな期待から、全てを丸ごと任せてしまう企業も少なくありません。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。

デザインやシステムの構築といった専門領域はプロに依頼するべき部分ですが、全てを丸投げにしてしまうと、本来伝えるべき企業の魅力が欠落したまま公開されてしまうリスクがあるのです。

「誰に」「何を」「どう伝えるか」という採用サイトの核となる部分は、制作会社に任せきりにせず、自社で考え、希望を伝えていくことが大切になります。

丸投げによる主な失敗例

ここでは、採用サイト制作でよく見られる代表的な失敗例を紹介します。

・求職者目線が抜け落ちた内容になってしまった

サイトの構成やコンテンツが一般的・表面的で、他社との差別化ができておらず、求職者が知りたい情報が抜けている。

・社員や現場の声が反映されていない

企業としての魅力や雰囲気が出せず、応募者にリアルな職場のイメージを伝えられない。

制作会社が用意した「よくある質問」や「働く環境」などのコンテンツに、実際に働いている社員の声や現場の雰囲気が反映されていないため、内容が薄く感じられてしまう。

・採用効果の振り返りが行われず、改善につながらない

数字の計測や改善提案が社内で検討されず、「サイトをつくって終わり」になっている。

「サイトはあるけど活用されていない」「効果がよく分からないまま何年も同じ状態」という状況に陥っている。

こうした失敗の多くは、「自社の関与が少なすぎる」ことに起因します。

自社の文化や理念、社員の本音は、社内の協力がなければ引き出せません。

本来であれば、「うちの社風は少しユニークで…」「実は新人にも裁量を与える文化があって…」といった、企業独自の強みを表現できるはずです。

しかし、社内からの具体的なエピソードや背景の共有がなければ、そうした魅力は形にできません。

求職者は、企業理念や制度以上に「どんな人が働いているか」「どんな雰囲気なのか」を気にしています。そうした空気感は、社内の協力なしには伝えられません。

関連記事：採用サイトは必要？メリットや大切なポイントを解説
https://hypervoice.jp/Recruitment

採用サイトに「社内巻き込み」が必要な理由

採用サイトは「自社を知ってもらうためのメディア」です。

だからこそ、社内の関与が欠かせません。

その理由は、大きく3つあります。

1）ターゲットに響く情報は社内にある

求職者が知りたいのは「どんな人が働いているのか」「職場の雰囲気はどうか」といったリアルな情報です。

これは、現場社員や人事担当者でなければ伝えられません。

2）社員の声が共感を生む

テキストだけでなく、写真や動画、インタビューなどを通じて、社員の声を伝えることで、求職者との心理的距離が縮まり、エントリー意欲の向上につながります。

3）運用・改善に社内が関わることで採用サイトが活きる

公開後のアクセス解析や応募数の推移などをもとに、社内で改善を続けていく体制があれば、採用サイトをさらに活かすことができます。

巻き込みのポイントと進め方

社内の従業員を巻き込んで、よい採用サイトをつくり上げるには、以下のステップが効果的です。

・初期段階で関係者にヒアリングを行う

人事部門だけでなく、現場社員や経営層にもヒアリングを行い、多角的な視点で「自社らしさ」を言語化します。

・社員インタビューやストーリーを活用する

社員のエピソードや一日の仕事の流れなど、個人にフォーカスしたコンテンツは共感を呼びやすく、求職者に刺さる情報となります。

・制作会社の「伴走型進行」が成功への近道

制作会社に仕様やデザインを任せつつ、コンテンツの方向性は社内と連携して詰めていく「伴走型進行」が理想的です。

・公開後も巻き込む

サイトの効果測定や改善アイデアを、定例会議などで定期的に共有・議論する仕組みを整えることで、求職者に響くサイトを維持できます。

実際に効果を出すための具体的なポイント

ここまで、採用サイトを丸投げせず、社内を巻き込む重要性について解説してきました。

では実際に、採用サイトの効果を高めるためには、どのようなポイントを意識すればよいのでしょうか。

ここでは、効果を出すための具体的なポイントをご紹介します。

・社員インタビューを軸にしたコンテンツ設計

求職者に響くコンテンツの中でも、とくに効果的なのが社員インタビューの活用です。

年次や職種の異なる複数の社員に取材を行い、それぞれのキャリアパスや仕事観、社内の雰囲気を語ってもらうことで、「自分がここで働くとしたら…」というイメージを想起させることができます。

また、社員の写真やオフィスの風景などビジュアルを豊富に取り入れることで、リアルな職場像を伝えられるため、企業への信頼感や共感が生まれやすくなります。

・制作会社との役割分担と「伴走型」の体制づくり

効果的な採用サイトにするためには、制作会社との関係性も重要です。

理想的なのは、“発注者”と“受注者”という関係ではなく、「採用課題の解決に向けて一緒に走るパートナー」としての立ち位置です。

採用の背景や課題、伝えたいポイントを共有することで、制作側も本質的な提案がしやすくなります。

また、ヒアリングや確認の段階で、社内の現場担当者・人事・経営層が必要に応じて参加し、多角的な視点で進めることで、サイトの質は大きく向上します。

・公開後の運用・改善サイクルをあらかじめ設計する

「公開して終わり」ではなく、公開後にどう運用し、どう改善していくかまで見越して制作計画を立てることが、成果に直結します。

たとえば「Googleアナリティクスやヒートマップ（ユーザーの動きを可視化するツール）を使ったアクセス解析」「エントリーフォームの離脱ポイントの分析と改善」「コンテンツの追加・更新タイミングの設定」「季節や時期に応じたトピックの投入」といった施策を事前に見据えておくことで、“生きた採用サイト”としての運用が可能になります。

社内でKPI（例：エントリー数、滞在時間など）を設定し、月1回の定例ミーティングで振り返るといった体制を整える企業も増えています。

このように、「何を掲載するか」だけでなく、「どう制作し、どう育てるか」が採用サイトの成否を左右します。

制作会社に全てを任せるのではなく、社内が主体的に関わり、外部と協業する姿勢が、採用成功への第一歩となるのです。

まとめ

採用活動が難化する中で、企業の採用サイトは単なる情報提供の場から、「自社の魅力を的確に伝え、共感を得るための戦略的ツール」へと進化しています。

しかし、こうした重要な役割を担う採用サイトを、外部の制作会社に丸投げしてしまうと、求職者の心に響かない「よくあるサイト」になってしまう危険性があります。

効果を出す採用サイトに仕上げるには、社内のリアルな声や、現場で働く社員の空気感を反映することが不可欠です。だからこそ、「社内を巻き込む姿勢」こそが、成功のカギとなります。

ターゲットに刺さるコンテンツの元は、現場にある
制作会社とは伴走型で協業するのが望ましい
公開後の運用・改善も視野に入れた設計が成果につながる

こうした姿勢で取り組むことで、採用サイトは「応募を集めるための装置」から、「企業価値を高める資産」へと変わっていきます。

「自社らしさが伝わる採用サイトをつくりたい」「丸投げではなく、プロと一緒に取り組みたい」

そのようなお考えをお持ちの企業様は、ぜひ私たちにご相談ください。

制作のプロと共に、貴社強みを最大限に引き出す採用サイトづくりをサポートいたします。

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