昨今、よく耳にする「リスキリング（学び直し）」。急速に変化する社会に対応するために、新たな知識・スキルを学び直すことを指します。リスキリングが重要なのは情報システム部門も同様です。そこで今回は情報システム担当者向けにリスキリングができる学びの場を紹介します。

政府も力を入れている、リスキリング支援

2022年10月に行われた所信表明演説にて、岸田首相は「個人のリスキリングの支援に今後5年間で1兆円の予算を投じる」と表明しました。実際に各省ではリスキリングを後押しする施策に取り組んでいます。

例えば、経済産業省ではリスキリング講座の受講も可能な「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を実施中。また厚生労働省では、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練※を修了した際に、受講費用の一部が支給される「教育訓練給付」を設けています。

所信表明演説の内容からも、引き続き政府はリスキリング領域に対する投資・支援を充実させていくことが見込まれます。

※情報関係では「第四次産業革命スキル習得講座」や「ITパスポート試験」などが該当

リスキリングができる学びの場5選

続いて、リスキリングができる学びの場を5つ紹介します。

放送大学情報コース

通信制大学「放送大学」の情報コースでは、幅広い情報技術のスキルや情報のありかたなどを学ぶことができます。同コースでは、例えば以下の科目が開講されています。

【プログラミング科目】
・C言語基礎演習
・データ構造とプログラミング

【情報処理・統計】
・表計算プログラミングの基礎
・Rで学ぶ確率統計

上記はあくまで一例です。放送大学ではすべての授業がインターネットでも配信されているため、日々忙しく働く情報システム担当者もスキマ時間にコツコツと受講することができるでしょう。なお、YouTubeにも科目紹介の動画がアップされています。気になる方はチェックしてみましょう。

参考：情報コース｜放送大学

東京通信大学情報マネジメント学部 IT・情報システムコース

通信制大学「東京通信大学」の情報マネジメント学部 IT・情報システムコースでは、ITの基本知識から応用、ネットワーク構築、サーバ管理、プログラミング技術の基礎・応用などに関する知識を学ぶことができます。

例えば同コースの科目の一つ「実践プログラミングⅠ・Ⅱ」では、Pythonの基礎知識やExcel作業の自動化、Web APIを活用したプログラム作成、データ分析などの技術を身につけることを目指しています。

講義の時間は1回約15分（90分の授業を15分ずつ分割しているわけではない）。YouTubeの動画感覚で、スキマ時間に講義を受けることができます。

参考：情報マネジメント学部IT・情報システムコース｜東京通信大学

マナビDX

「マナビDX」は、経済産業省の審査基準を満たした、デジタルスキルを習得できる講座を紹介するポータルサイトです。運営は経済産業省から委託を受けた、独立行政法人情報処理推進機構（IPA）です。講座はレベル1～4に分けられています。レベル別の講座には例えば以下がサイト内で紹介されています。

【レベル列講座例】
・レベル1「office製品まとめて活用術」：Word・PowerPoint・Excelの便利機能を学習する講座
・レベル2「ネットワーク構築基礎」：ネットワークの基礎知識を総合的に学ぶ講座
・レベル3「今日わかるAWSサーバ構築」：AWS上のサーバ構築の方法を学習する講座
・レベル4「DX／データサイエンス実践教育」：機械学習ツールを活用した、ノーコードアプローチによるデータ分析、モデル開発スキルなどスキル習得を目指す講座

参考：マナビDX

Udemy business

「Udemy business」は、情報システム領域含め多様なジャンルのビジネススキル・知識をオンライン上で学べる、サブスクリプション型の法人向けオンライン学習サービスです。同サービスでは、世界最大級のオンライン動画学習プラットフォーム「Udemy」で公開されている講座の中から、日本人利用者向けに厳選した講座を学ぶことができます。

【講座例】
・【1日で習得】技術者のためのPythonデータ分析
・AWS：はじめてのAmazon Web Services
・アジャイル・プロジェクトマネジメント短期集中講座

Udemy businessは法人向けのサービスであり、契約は20名～です。法人専用の管理機能として、学習進捗管理や自社専用の講座登録などが搭載されています。

参考：Udemy business

サイバー大学

通信制大学「サイバー大学」は2007年に文部科学省によって認可を受け開学した、ソフトバンクグループのフルオンライン大学です。同大学のIT総合学部ではIT・ビジネスの基礎・応用のほか、自然科学や人物科学といった教養分野、外国語分野の科目も幅広く揃えられています。

また、サイバー大学では学位という形式だけでなく、単位ごとの履修証明となるマイクロクレデンシャルも授与されます。

科目では例えば「Pythonプログラミング実践」「AIプログラミング」「ロジカルシンキング」などが開講中。「サイバー大学公式コミュニティ」を通じて、在学生や卒業生、教職員との交流を深めることもできます。

参考：サイバー大学

まとめ

・リスキリングは政府も協力に後押ししている
・情報システム担当者が、リスキリングのできる通信制大学には放送大学や東京通信大学、サイバー大学が挙げられる
・マナビDXやUdemy businessを活用し、講座を受講することでIT技術の学び直しも可能