AIエージェントは、人間の代わりに自律的に考え、タスクを実行するという次世代型AIです。生成AIは現在さまざまなサービスが誕生して短期間で進化を遂げていますが、生成AIの次にくるのがAIエージェントだともいわれ、2025年1月に開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」でもAIエージェントは注目されました。

「AIエージェント」とは？

従来のAIは、プログラムされた応答や、あらかじめ決められたコマンドを実行するのみでした。生成AIも「こういう内容のプログラムを書いて」「これはどういう意味をもつのか」などとプロンプトを入力すると、その内容を生成するだけにとどまります。

これに対して、AIエージェントは特定の目的を指示すれば、必要なプログラミングなどを自分で考えて生成します。

AIエージェントのわかりやすい例に自動車の自動運転システムがあります。道路の状態や信号、ほかの自動車や歩行者などの状況を理解しながら、目的地に安全に到達するように動作します。

この場合、目的地のみを設定すれば、どのルートを通れば最適か、ここでは安全のために止まるべき、走り出すタイミングなどはAIが自律的に考えるのです。

ほかのAIとAIエージェントとの差別化する特長として、以下の3つが挙げられます。

自律性：目標に向け、環境を鑑みて自律的に行動を調整します。タスクのみを指示すれば自己判断で行動を決めます。
相互作用：環境情報を取得して状況を把握します。センサーやAPI、カメラ映像の分析、データベースなどを利用します。
継続的な学習：実行したタスクを蓄積し、その経験からさらに自己学習を行っていきます。

どんな種類のエージェントAIがあるのか

現在、代表的なAIエージェントに以下のようなものがあります。

タスク管理エージェント：スケジュールやタスクを管理し、リマインダーや通知を行う。
予測型エージェント：過去のデータを分析して需要の変動やリスクなどを予測する。
制御エージェント：環境をリアルタイムで解析して、状況に応じた制御を行う。
学習エージェント：理解度や進捗に応じて適切な教材などを提供する。
セキュリティエージェント：ネットワークのトラフィックやログからサイバー攻撃などを検出する。
単純反射型エージェント：環境や入力事項に直接反応する。
条件アクション型エージェント：ルールベースで反応をする。
ユーティリティ型エージェント：与えられた複数の選択肢の中から有用性の高い行動を選択して実行する。

AIエージェントはどのように利用できるのか

2024年1月23日に、OpenAIが新しくAIエージェント「Operator」を発表しました。現在はChatGPTのアメリカでの最上位プランの利用者が試験版として利用できるのみですが、順次ほかの国にも提供を広げ、数カ月以内に月額20ドルの有料版利用者も使えるようになる予定です。

Operatorは、ブラウザー上で動くAIエージェントです。利用者がタスクを入力すると、AIが自ら文字入力やクリック、スクロールなどを行います。

「今夜7時にレストランで2名予約して」と指定するとAIが飲食店の予約サイトで該当するレストラン、時間の空席を探してくれます。指定時間に空きがないと7時30分からでもいいかを確認してきます。OKであれば、予約までAIが行います。

同様に、航空券やホテルなどの予約もできます。

AIエージェントの基盤となるのはLLM（大規模言語モデル）ですが、NVIDIAはAIエージェント用のオープンなLLM「Llama Nemotron ファミリ」を発表しました。これは、MetaのオープンソースLLM「Llama」にAIエージェント用の追加学習を追加し、さらにモデルを軽量化するプルーニング（枝刈り）、ディスティレーション（蒸留）などを施して開発したものです。

また、MicrosoftもLLMサービス「Azure OpenAI」やAIアプリ開発サービス「Azure AI Foundry」をリリースし、家電メーカーのスマート家電などの開発に利用されています。

韓国のLG電子は独自に開発したLLM（大規模言語モデル）で動くAIエージェント「FURON」によってスマートホームを運用すると発表しています。

TVを観ながら運動をしていると、AIエージェントがユーザーの動きなどを認識して、エアコンの温度を適切に調整するといったことが想定されています。

韓国のサムスン電子は、2025年前半にAIエージェントロボット「Ballie」を発売することを発表済みです。自社開発の生成AI「Galaxy AI」を搭載したスマートフォンやスマートウォッチ、スマートリングなどのデバイスと家電を連動させ、快適な睡眠環境を構築したり、睡眠時無呼吸症候群の兆候があれば音声データを取得し、そのまま病院の予約をとるといったことが想定されています。

中国のハイセンスは、各洋服に合った洗濯サイクルをAIが選ぶスマート洗濯機などを発表しています。素材などによって乾燥を早めに終え、繊維が傷むのを防止するといったことができます。

ビジネスシーンでは、AIが自動でタスクをこなすほか、ロボットとの組み合わせで人に代わって現場作業を行うものも開発されています。

一般家庭でも購入できる価格帯のAIエージェント搭載家電が発売になるまでにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、どれも実現不可能なものではなく、AIエージェントは近いうちに身近なものになりそうです。

まとめ

生成AIの次にAIエージェントが来るといわれている
AIエージェントは、目標に対して自律的に考えて実行する
ビジネスシーン、一般家庭でのさまざまなAIエージェントが開発されている

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