道路交通法が2022年3月に改正され、運転者の酒気帯びの有無を目視で確認することが義務化されています。さらにこの10月からは、アルコール検知器による確認も義務化されると言われており、アルコールチェックの方法が厳しくなるでしょう。そこで今回は改正された内容の詳細と、そのために必要な準備を確認しましょう。

酒酔い・酒気帯び運転の事故

飲酒運転による交通事故は年々減少傾向にあります。2011年の事故数は5,030件でしたが2021年は2,018件。2007年に酒酔い運転の罰則が「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、酒気帯び運転の罰則が「3年以下の懲役又は50万以下の罰金」へ厳罰化されたことに加え、社会の意識も変化してきていると考えられます。

しかしながら下げ幅を見ると、厳罰化されたときに大きく減少した後、年ごとの減少幅は緩やかになりつつあることが分かります。罰則となるアルコールの量は以下のとおりですが、運転をするときにはアルコールを避けるべきであることは言うまでもありません。

・血液1mLにつき、0.3mg
または
・呼気1Lにつき0.15mg

飲酒あり、なしの死亡事故率を比較すると、飲酒運転での死亡事故率は飲酒していない人と比較して約9.2倍となっています。

改正道路交通法の内容

運転者の運転前後のアルコールチェックが今年の4月から義務化されました。さらに10月からはさらに条件が追加されます。アルコールチェック義務の対象となるのは、以下の条件を満たす企業です。

・乗車定員が11人以上の自動車1台以上
または
・その他の自動車5台以上　
※自動二輪車（原動機付自転車を除く）は1台を0.5台として計算

なお、該当の事業者は、安全運転管理者の専任が必須です。

4月1日からの改正点

運転手が酒気帯びではないことを、運転前後に目視などで確認することが義務化されました。また、酒気帯びの有無について記録し、その記録は1年保存する必要があります。

記録表には、以下の項目を記載する必要があります。

1. 確認者名
2. 運転者氏名
3. 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号または識別できる記号、番号等（自動車ナンバーなど）
4. 確認の日時
5. 確認の方法　対面／電話／ビデオ通話／その他
6. 探知機の使用　有／無（10月1日以降）
7. 酒気帯びの有無　有／無
8. 指示事項（酒気帯びがあった場合の措置など）
9. その他必要な事項

10月1日からの改正点

運転手の運転前後の酒気帯びの確認を、アルコール検知器（アルコールチェッカー）で行うことが義務になります。遠隔地で運転する場合は、検知器を常時有効な状態で保持しなければなりません。

アルコール検知器を今から準備！

アルコール検知器は、息を吹きかけて酒気帯びを検知する機械です。改正道路交通法を見据えて、各社から次々と発売されています。基本的な機能はどれも同じなので、サイズや付加機能での選択になります。

ここでは、アルコール検知器を「据え置き型」と「携帯型」に分けて見ていきましょう。

据え置き型

事務所に置いて使うタイプのもので、携帯型よりも高性能になっています。PCやスマートフォンと連動し、顔認証を行って個人を判別したうえで酒気帯びを確認するため、なりすましを防ぐことができます。

検査の結果はそのままクラウド上に収められますので、別途記録を取る必要はありません。これがあれば、検査のたびに管理者が立ち合う必要もなくなり、負担が軽減できます。

携帯型

運転中に持ち歩く場合や運転手一人ひとりに渡す場合は、携帯型、あるいは据え置き型との併用になるでしょう。検査器本体に呼気のアルコール量が表示されるだけのものと、スマートフォンと連動してクラウドに記録されるものがありますが、業務で使用するなら後者がおすすめです。

株式会社パイ・アール「アルキラーPLUS」を例に見ると、スマートフォンのアプリを立ち上げて検知器に息を吹きかけると結果が表示され、クラウド上にそのデータが記録されます。また、スマートフォンと連動させるため、遠隔地であっても位置情報と顔認識が可能になって不正を防げます。

ほかの機種には体温を非接触で検知できる機能のものもあり、新型コロナウイルス対策にも役立てられます。給電方法やセンサー寿命なども、選ぶときにチェックしておくと良いでしょう。

助成金を受けたいときに必要な対応

アルコール検知器の導入に対する助成金はありませんが、国土交通省の「ITを活用した遠隔地における点呼機器」に対する助成金があります。その機能を持つアルコール検知器には、助成金対象として認可を受けているものもあるようです。

IT点呼とは、Webカメラで運転手と確認者が音声と映像で点呼を実施するというものです。これを利用するのも一つの手です。

参考：道路交通法施行規則改正！アルコールチェックが義務化になります！

https://818shiki.com/alcohol-check/

まとめ

・改正道路交通法でアルコール検査が義務化
・10月1日からは、アルコール検索の使用が必要に
・クラウドで記録が残せるタイプの検査器がおすすめ