パソコンの性能に大きな影響を及ぼす、パソコンの頭脳「CPU」。ビジネスパソコン選びの際には、CPUにはこだわりたいものです。現実的にCPU選びは、世界の2大CPUメーカーである「 AMD 」と「インテル」の2択になるでしょう。今回はAMDとインテルについて、企業規模・生産体制・CPUのスペックの3つの観点から比較してみました。

企業規模から見る、AMDとインテルの違い

2023年の業績面を比較すると、インテルがAMDの約2.5倍の売り上げを上げています。半導体の市場シェアもインテルが9.1%に対しAMDが4.2%と、企業規模はインテルに軍配が上がります。

AMDの2022年は売上高は2021年比42.9%増と、インテルに猛追、2023年は5.6％減、とマイナス成長となったものの順位は7位を維持しています。

AMDとインテル、生産体制の違い

AMDは自社工場を持たない「ファブレスメーカー」です。一方、インテルは自社工場で自社設計の半導体を生産しています（ただし、2021年3月より半導体ファウンドリー（受託生産）事業にも参入している）。両者の主なメリットは以下のとおりです。

＜自社工場を持たない主なメリット（AMD）＞

・莫大な初期投資や製造ラインの新設が必要ない
・設計にリソースを集中的に投下できる
・適正価格で卸せる

＜自社工場を持つ主なメリット（インテル）＞

・設計および生産の技術を掛け合わせ、性能の向上に努められる
・外注コストがかからず、大量生産する場合は自社工場を持たない場合よりも安価になる可能性もある
・情報セキュリティ面のリスクは低い

上記のとおり、AMDのように自社工場を持たない場合、工場建設・運営コスト回収の必要がなく、比較的性能が良い製品を低価格で卸せる点が特徴です。ちなみにAMDの製品は、世界最大の半導体製造会社「TSMC」が製造を担当しています。

また、インテルのように自社工場を持つ場合、情報セキュリティ面にメリットがあるほか、自社で全工程をコントロールできるため、外注コストを削減することができます。

AMDとインテルのCPU比較

AMDは「Ryzenシリーズ」、インテルは「Core iシリーズ」というCPUブランドを展開しています。両シリーズはそれぞれ「Ryzen9」と「Core i9」、「Ryzen7」と「Core i7」のように、同じ数字同士で分かりやすく対応しています。

＜Ryzenシリーズの主なメリット＞

・コストパフォーマンスが良い
・複数のアプリケーションを効率良く処理できる

＜Core iシリーズの主なメリット＞

・安定性に優れている
・単一のアプリケーションの処理速度が速い

具体的にビジネス用途パソコンにも搭載されている、2つのCPUのスペックを比較してみましょう。

上記の違いにより、例えば「AMD Ryzen™ 5 5625U」の方が「Intel Core i5-1245U」よりもグラフィックスは最大＋35%、マルチスレッドは最大＋31%、総合的な生産性は最大＋41%高い性能を発揮します。性能面では、AMD Ryzen™ 5 5625Uに軍配が上がりそうです。

情シス・社内SEはどちらのCPUがおすすめ？

AMDの「Ryzenシリーズ」とインテルの「Core iシリーズ」、どちらも優れたCPUであることに間違いはありません。その上で、情シス・社内SEにおすすめのCPUはAMDの「Ryzenシリーズ」です。理由は以下のとおりです。

プログラムのビルド時間短縮を図れる
複数のアプリケーションを効率良く動かせる

「Ryzenシリーズ」は複数のアプリケーションを効率的に動かすマルチコア性能に優れています。そのため「Ryzenシリーズ」であれば、ビルド時間の短縮を図れるほか、TeamsやOfficeソフトなど複数のアプリケーションもサクサクと動かせます。とくにプログラムを行う情シス・社内SEは、ストレスが大きく軽減されるでしょう。

そのほか、画像・動画編集や科学技術計算処理にも向いているほか、「Core iシリーズ」と比べて優れた省電力性能も特徴です。

両者ともに優秀なCPUではありますが、情シス・社内SEの業務には、AMDの「Ryzenシリーズ」と相性が良いでしょう。

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まとめ

「Ryzenシリーズ」はコストパフォーマンスが良く、「Core iシリーズ」は安定性に優れている
プログラミングをよく行う情シス・社内SEは「Ryzenシリーズ」がおすすめ
テレワークを頻繁に行う情シス・社内SEは「Core iシリーズ」がおすすめ