企業や組織を狙うサイバー攻撃の手法は常に進化し、次々と新たな被害が生まれています。また、社会情勢が不安定になると、国家によるスパイ行為、あるいは組織的なテロ行為の手段として、サイバー犯罪が活発化することもあります。

そこで今回は、代表的なサイバー攻撃の種類や手口を紹介し、企業はどのように対応していくべきかについて解説します。

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主なサイバー攻撃

最近のサイバー攻撃の大半は、悪意をもって配信される不正なソフトウェア「マルウェア（Malware）」を利用しています。映画のようにサイバー犯罪者がリモートコンピュータから不正にアクセスし、手動で情報の窃取や破壊工作を行うことは極めて稀で、大抵は巧妙な手口でマルウェアを送り込むことから始まります。

マルウェアの主な手段には、次のようなものがあります。

ランサム攻撃
マルウェアによってファイルの暗号化やシステムのロックを行い、その復元を条件に身代金を窃取する攻撃。
個人情報や企業の機密情報などの窃取
スパイウェアと呼ばれるマルウェアによって、個人情報、クレデンシャル、企業の機密情報などを窃取する攻撃。
システムの改竄や破壊
企業の表の顔であるWebサイトを改竄したり、システムに侵入してデータを削除したりするといった破壊を目的とした攻撃
DDoS攻撃
複数のコンピュータから同時に特定のWebサイトやネットワークにアクセスし、サーバーを過負荷状態にして、利用不能にする攻撃

中には、マルウェアを使用しない次のようなサイバー攻撃もあります。

フィッシング詐欺
メール、SMS、SNS、チャットなどを利用して、偽のWebサイトに誘導して個人情報を盗み取る攻撃
ビジネスメール詐欺
巧妙に偽装した請求書などをメールで送って不正に金銭を騙し取る攻撃

サイバー攻撃で利用される主なマルウェア

近年、頻繁に観測されるマルウェアの代表と言えばEmotetですが、既に何度か紹介していますので今回はEmotet以外のマルウェアをいくつか紹介します。

[TrickBot]
TrickBotもEmotetと同じくトロイの木馬型のマルウェアです。銀行など金融機関に関する情報窃取を目的としたバンキングトロイと呼ばれるマルウェアの一種として知られていましたが、近年ではランサムウェアの配信に利用されることが多いようです。また、Emotetと連携して動作する攻撃も観測されています。

[Ryuk]
2018年頃から観測されるようになったランサムウェアです。TrickBotによって感染するケースが多いようですが、他のマルウェアを利用することもあります。

[Conti]
2020年頃から観測されるようになったランサムウェアです。身代金が高額であることでも知られており、100万ドル以上を請求された例もあります。暗号化プロセス中にファイルを消去することで、ファイルの復元を困難にするなどの特性があります。

[Formbook]
2016年頃から観測されているリモートアクセス型のトロイの木馬（RAT）で、侵入したコンピュータを外部からコントロールするだけでなく、キーストローク、スクリーンショット、フォームの入力データ、クリップボードの内容、マイクやウェブカメラの音声や映像データなど多種多様な情報を窃取するスパイウェアでもあります。Formbookが流行した最大の理由は、ダークウェブによってMaaS（Malware as a Service）として提供されたことにあります。

[Agent Tesla]
2014年頃から観測されているRATです。Formbook同様にスパイウェアでもあり、主にWindowsプラットフォームを標的としています。Agent Teslaもダークウェブ上で販売されたことで世界的に流行しています。

[Lokibot]
Lokibotは名前の示す通りボットの一種ですが、Formbookと同様にキーストローク、クレデンシャル情報など多種多様な情報を窃取するスパイウェアでもあります。また、Lokibotは、C＆Cサーバーとの通信を暗号化するためにSSL（Secure Socket Layer）を使用するなど、高度な技術を用いて検出を回避することでも知られています。
Windowsプラットフォームだけでなく、Androidでも動作するバージョンが存在しています。Lokibotはソースコードが流出したことで、さまざまな亜種も作成されており、最近ではランサムウェアの機能が搭載された物も観測されています。

どうやってマルウェアからの被害を防ぐのか

多くのサイバー攻撃がマルウェアによって引き起こされるため、やはり中心となるセキュリティ対策は「マルウェアの侵入を防ぐ仕組み」です。これには、「ファイアウォール」「IDS/IPS」「EPP」などが相当します。また、サーバーやユーザーデバイスなどのセキュリティパッチ適用、アクセスコントロールといった基本的な対策も実施することは、脆弱性を利用したサイバー攻撃を防ぐ効果を期待できます。

しかし、巧妙化するサイバー攻撃は、こうしたセキュリティ対策の網の目を潜り抜けてしまうことも少なくありません。そのため「侵入されたときに被害を最小限に抑える仕組み」として、「EDR」を導入する企業も増えています。なお、さまざまなセキュリティ対策を多層に重ね合わせて効果を高める「多層防御」は、最近のセキュリティ対策のトレンドになっています。

セキュリティソリューションによってシステムの防御力を高めることは大切ですが、その一方で忘れられがちなのはユーザーに対する適切なセキュリティ教育です。セキュリティ意識の低いユーザーが一人でもいれば、マルウェアを持ち込まれてしまうかもしれません。あるいはフィッシング詐欺やビジネスメール詐欺の被害に遭ってしまうこともあります。セキュリティ教育を定期的に行ってセキュリティ意識を高め、セキュリティ対策を徹底することが重要です。

まとめ

多くのサイバー攻撃はマルウェアを利用する
過去に流行ったマルウェアが別の目的に利用されることもある
セキュリティソリューションの導入だけでなく、ユーザーへのセキュリティ教育も重要

主なサイバー攻撃

サイバー攻撃で利用される主なマルウェア

どうやってマルウェアからの被害を防ぐのか

まとめ

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