夏休みが近づいてきました。会社全体でお休みにする企業も、７月～９月の間に従業員が順番で休みをとる企業もありますが、いずれにしてもシステム管理者がいなくなる、または人数が減る期間が出てくるということです。

トラブルが起きないよう、長期休暇に入る前にできるだけ対策を講じておきましょう。

長期休みに起こりやすいトラブル

年末年始、GW、夏季休暇などの長期休みには、サイバー攻撃による被害が増える傾向にあります。長期休暇にはシステム担当者が不在になり、インシデントが起きたときに迅速な対応がとれなくなるため、その期間を狙う攻撃が増えるとみられています。

長期休暇であることとの因果関係は明確になっていませんが、警察庁が発表している「令和４年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、フィッシングなどに伴うインターネットバンキングの不正送金の被害は8月下旬から9月にかけて急増しています。

たまたまこの時期だった可能性もありますが、長期休暇時期を狙った犯罪である可能性も否定はできません。

2022年8月に、経済産業省、総務省、警察庁、内閣官房サイバーセキュリティセンターの連名で「夏季の超過休暇において実施いただきたい対策について（注意喚起）」が発出されましたが、その後もサイバー攻撃被害が国内外で続いたため、2022年12月にも同様の案内が出ています。

最近、特に被害が多いランサムウェア、マルウェアEmotet、DDoS攻撃などについては、長期休暇の隙を狙って攻撃が活発化する危険性があります。

2023年も夏季休暇に合わせて公的な注意喚起が出されるかもしれませんが、その発出の有無にかかわらず、早めに準備をしておくことをおすすめします。

情報システム担当が行うべき対策

情報システム担当者は、長期休暇の前、後に以下のような対策が必要です。

インシデントが起きた場合の、対処フロー、連絡体制を必ず確認しておきましょう。何かあったときは、一刻でも早い対処が必要です。システム担当者が一人しかいない、あるいはアウトソーシングしている場合は、上長やセキュリティベンダーとも連携しておくといいでしょう。

万全な対策をとったつもりでも何が起こるかわかりません。データは休みの前にバックアップをとり、必要に応じてバックアップデータをネットワークから切り離して改変できないように対策を講じておくと安心です。

また、社内システムで、退職者、異動者など不要なアカウントが残っていないかもこの機会に確認を。ファームウェアやセキュリティパッチが最新バージョンになっているかも調べておきましょう。休暇中に使わない機器は電源を落としておくことも大切です。

再度、ファームウェアやセキュリティパッチが最新であることを確認しましょう。特に電源を切っていた機器は、自動でアップデートされていないので更新が必要です。

長期休暇中に不審なアクセスや動作が起きていないか、ログなどで確認し、もし何かあれば即対処します。併せて、不正プログラムに感染されていないかもチェックしましょう。

長期休暇にオフィスが閉まるなどで機器の持ち出しが必要になるときは、必ずルールを確認しましょう。また、何か機器にトラブルが起きたときのサポートの窓口が休暇中どこになるのか確認しておきましょう。

休暇だけのことではありませんが、不審なメールやプログラムを開かないことも大切です。もし、マルウェアやフィッシングなどを開いてしまうと、通常よりも復旧に時間がかかることもありますので、いつも以上に細心の注意を払いましょう。

おかしいかもしれない、と感じたら、メールの発信者やシステム担当者などに、電話など、別の手段で問い合わせてみましょう。

SNSで、勤務先企業が判断できるような内容やプロフィールを掲載している場合は、長期休暇中であること、旅行先などを書かないようにします。投稿内容から、その企業が手薄になっていることが分かってしまうからです。

また、企業名等を伏せている場合でも、肖像権や著作権を侵害するような投稿は行わないよう注意を払うことも忘れないようにしましょう。