あらかじめ用意された部品を利用して開発を行うノーコード／ローコードツール。プログラミング言語に詳しくなくてもアプリ作成できる簡易さで人気を集めています。ただし、ITの上級者じゃなくとも開発できるメリットの裏に、セキュリティリスクが生じることも。ノーコード／ローコードでのアプリ開発時には何に気をつければいいのか見ていきましょう。

ノーコード／ローコードでのアプリ開発

ノーコード／ローコードツールは、プログラミングやコーディングを知らないローリテラシー・ミドルリテラシーの人でもアプリを開発できるツールです。テンプレートやパーツなどがプリセットされており、ドラッグ＆ドロップなどの簡単な操作で業務アプリを作成できます。

ノーコードは文字通り自分でソースコードを書く必要がありません。ローコードのほうは、極力ソースコードを書かないで済むように設計されているため、ノーコードツールよりも柔軟性がある分、知識も必要になってきます。

いずれも、非ITスタッフでも扱えるようになっているものが多く、社内にプログラマーがいない組織や、使う機能が限られていて、かつ簡単に開発できるものを求めている場合などに好まれています。

支払いはサブスクリプションで月ごと、使用人数ごとの支払いとなるものが多く、業務システム開発にコストをかけられない組織には打ってつけといえます。

ノーコード／ローコードツールのセキュリティリスク

ITの知識がなくてもアプリ開発できるのは、専門のスタッフを抱えるのが難しい環境では簡単に導入できる大きなメリットがあります。

けれども、非IT部門のスタッフだけで開発するということは、セキュリティのプロも不在のままになってしまうということです。

ノーコード／ローコードのプラットフォームは、PaaS（Platform as a Service）としてベンダーが提供していることがほとんどです。ですから、基本的にはベンダー側でもセキュリティ対策は行われています。

サイボウズのkintoneを例にすると、想定外のアクセスをシャットアウトする「IPアドレス制限」、接続端末を認証し、制限できる「セキュアアクセス」、2要素認証、操作権限を細かく管理する「アクセス権」が標準で装備されています。

でも、いくらベンダー側のセキュリティ対策が行われていても、アプリ開発・使用する側のセキュリティ意識が欠けていては、セキュリティに問題があるアプリを作りかねません。ベンダーが用意したセキュリティ機能を正しく理解し、開発しないとセキュリティホールを埋め込んでしまう可能性があるのです。

例えば、アクセス権の設定を誤ってしまうと、情報漏えいにつながってしまいます。また、ベンダーがセキュリティ対策を行っているのはプラットフォームレベルまでなので、アプリでのセキュリティ対策は、ユーザー側で行う必要があります。状態に応じて、アンチウイルスソフトを用いることなども考えたほうがいいでしょう。

誤操作でデータが消えてしまっても、ベンダー側の補償は受けられないので、これも注意が必要です。

クラウド版のツールを選ぶときにはベンダーがどのようなセキュリティ対策を行っているかを確認しておくといいでしょう。オンプレミス版のノーコード／ローコードツールの導入を検討しているのなら、もちろん、サーバーのセキュリティ対策を行わなければなりません。

アプリ開発担当者は、セキュリティに対する意識をもち、最低限の知識を身につけておくようにしましょう。

ブラックボックス化しない対策

ノーコード／ローコードツールは誰でも簡単に扱えるメリットから、業務部門ごとに開発することも少なくありません。そこで生じてしまうのが、作成したアプリの乱立やブラックボックス化です。

ノーコード／ローコードツールをもとにして、他のシステム開発ベンダーに新しいシステム開発を依頼したとき、元のツールがどのような構成になっているのかがわかりにくく、業務アプリの新たな開発の妨げになるようなことも発生しています。

業務部門ごとに作成したアプリにトラブルが生じてIT部門に相談しても、どのように開発したのかがわからないと解決できないこともあり得ます。

アプリ開発担当者は、どのようにそのアプリを作ったのか、またカスタマイズしたのかを記録しておくことをおすすめします。

万が一、インシデントが生じたときに、その記録をもとに原因をつきとめることができるようにするためです。

異動や退職などで引き継ぐことになったときも、記録をとっておくと、後任が利用、さらにカスタマイズするときも容易に行えます。

IT部門、情報システム部門のスタッフは、アプリを開発する各部門のスタッフに対して、基本的なIT知識、セキュリティ知識を覚えてもらうように、教育プログラムやマニュアルを制作して提供するなどを行うといいでしょう。

まとめ

・ノーコード／ローコードツールはプログラミングができなくても業務アプリが作れる
・簡単に扱えるものの、設定ミスでセキュリティホールが生じることがある
・作成手順を残しておかないとブラックボックス化するケースも

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