オンライン会議が当たり前の時代となり、どこにいても会議に参加することができるようになったからこそ問題になることがあります。それが、オンライン会議に参加する際の「環境」です。

参加者の中に返答がワンテンポ遅れる、頻繁に回線が切断して会議から退席してしまう、映像や音質が悪い、周囲の雑音が聞こえるという人がいると、会議の進行にも影響してしまいます。

そこで今回は、快適にオンライン会議に参加するための環境について解説していきます。

通信状環境を確認する

会議に限らず、オンラインで仕事をする上で通信環境は極めて重要です。単にインターネットに接続できていれば問題ないわけではなく、通信速度など通信の品質もきちんと確認しておくことが重要です。

利用している通信回線の速度は、簡単に測定することができます。たとえばNetflixが提供している「Fast.com」は、アクセスするだけで回線速度を計測してくれるサービスです。同じように回線速度を計測してくれるサービスはたくさんありますので、検索して比較してみても良いかもしれません。

通信回線の速度は、「bps」という単位で現れます。これは、「bit per second」の略で、1秒間に送れるbit数を意味しています。穂一が大きい程、回線速度が速いという理解で問題ありません。最近の通信回線は非常に高速であるため、最近では「Mbps」という表記が使われることが一般的です。これはメガビットつまり「1Mbps = 1,000,000bps」という意味です。

通信速度はこちらからデータを送信するアップロード（上り）の速度と、データを受信するダウンロード（下り）の速度はそれぞれ別に計測されます。先ほど紹介したFast.comは、Netflixが配信する動画を快適に閲覧できるかを確認することを目的としたサービスなので、最初に大きく表示されているのはダウンロード速度です。数字の下にある「詳細の表示」ボタンをクリック（タップ）すれば、利用している通信回線のアップロードの速度を確認できます。

オンライン会議の場合、双方向で映像や音声をやり取りすることになるため、アップロードとダウンロードの両方の速度が快適な速度であることが求められます。

お互いの表情やプレゼンテーションを画面で共有するなど「映像」を送受信するオンライン会議の場合、快適に参加するためにはアップロード・ダウンロード共に3Mbps程度の速度が必要だと言われています。ただし、最近は映像の解像度も高くなっているため、フルHDの映像を送受信するのであれば最低でも5Mbps以上、できれば15Mbpsを超えている方が快適です。

通信回線が遅いと、次のような問題が発生することがあります。

映像が止まってしまう
画質が悪くなる
音声が途切れる
映像や音声が遅れる
会議から勝手に退室してしまう

最近のオンライン会議用ツールは、回線速度に応じて送受信する映像の画質を調整するものもありますので、会議中にプレゼンテーションするなど自分が画面を共有する立場になる場合には、特に通信回線には気を付ける必要があります。

なお、オンライン会議中に会議の参加者とファイルを共有する、あるいは会議中に通信が必要になる別の作業（SaaSのアプリケーションを利用するなど）をする場合には、さらに高速な通信環境が必要になります。

明らかに通信速度が遅い場合、改善するためには原因を確認する必要があります。以下の記事を参考にしてみてください。

映像や音声の質に着目する

オンライン会議には「視覚的要素」と「聴覚的要素」があります。つまり、「映像」と「音声」です。通常の会議であれば、PCに付属しているカメラやマイクで十分ですが、オンライン会議の用途によっては、映像や音声の質を整えることで相手への印象が格段に変わってきます。

映像（カメラ）
商談、セミナー、面接など相手に好印象を与えたい会議では、ノートPC付属のカメラよりも外付けのカメラを利用することをお勧めします。ノートPCに付属しているカメラは顔の正面よりも下側に配置されているため、顔がやや下膨れ気味に映ってしまうことが多いようです。また、搭載されているカメラの解像度が低い可能性もあります。

そこでおすすめなのが、外付けのカメラです。カメラ選びで重視したいのは、「ピクセル(p)」で表される解像度と、1秒間に記録できる画像数である「フレームレート(fps)」の値です。高画質になるほどデータサイズも大きくなるため、オンライン会議であれば、解像度は1080p、フレームレートは30fpsくらいあれば十分なスペックだと言えるでしょう。

また、カメラの映る範囲（視野）を示す画角についても確認が必要です。一般的なノートPCのカメラの画角は60～90度程度で、撮影対象が1名であることを想定しています。ただし、会議室などで複数人の参加者を同時に映すような場合には、90～120度程度の画角のものを選びましょう。

特にセミナーなど大勢の人に閲覧してもらうような場合には、カメラを好きな位置に固定できる三脚や、明るく鮮明な映像を撮影するための撮影用ライトなどにも気を付けたいところです。

ここまで映像の質について解説してきましたが、通常のオンライン会議では、映像よりも音声の方が重要になることが多いことをご存じでしょうか。映像が途切れても会議は続けられますが、参加者の音声が聞き取りにくいと会議の進行に大きく影響してしまうからです。画面共有をしている場合には同じくらい映像も重要になってきますが、参加者の顔は最悪見えていなくても問題ありません。

音声（マイク）
音声を送信するために必要なのがマイクです。マイク単体、マイクとスピーカーがセットになったもの、ヘッドセットなどがあります。また、大勢が同時に参加可能な会議室では、カメラ、マイク、スピーカーが搭載されている機器もあります。

リモート環境から一人でオンライン会議に参加する場合、マイク単体やヘッドセットの利用が一般的です。会議中にキーボードの打鍵音が入らないよう、PCに付属しているマイクではなく、外付けのマイクやヘッドセットを利用するという人も多いようです。ヘッドセットのマイクは口元近くにもっていけるので、小さな声でも音を拾ってくれます。

マイクは形状や性能によって大きく値段が異なる製品です。指向性、集音範囲、ノイズキャンセリング・エコーキャンセリングなどの付加機能の有無などを用途に合わせて選択する必要があります。

指向性は、マイクが音声を拾うことのできる方向や範囲のことで、「全指向性（無指向性）」は、360度全方向からの音声を拾うことができるため、会議室の中心に設置して利用します。「双方向性」はマイクの正面と背面の音を拾い易く、会議室で対面に座るような場合に利用します。単一指向性は、一つの方向からしか音声を拾わないマイクで、1人でテレワークしているような場合に便利です。

集音範囲は、そのマイクがどれくらいの距離まで音声を拾うことができるかを示しており、あまり広いと周囲の雑音を拾ってしまいますが、狭いと大きな会議室では端にいる人の発言が拾えません。製品によっては集音範囲が記載されていない場合もありますが、指向性や対応人数の記載でおおよその範囲は検討が付けられます。

ノイズキャンセリングは雑音を消して音声をクリアにしてくれる機能で、最近はAIで非常にクリアな音声を実現している製品もあります。また、エコーキャンセリングはスピーカーの音声を拾ってエコーが発生しないようにする機能です。

なお、オンライン会議用のマイク選びの詳細については、以下の記事を参考して見てみてください。

周囲環境に気を配る

テレワークなどでたびたび問題になるのは、参加する「場所」です。たとえば自宅から参加して、お子さんやペットが会議のカメラに映りこんでしまう、街中でリモートワークしている場合には周辺の雑音が他の参加者にも聞こえてしまうといったことがあります。

外出先から参加する場合、会議の音声が周辺に迷惑をかけてしまうケースもあり、一部のカフェなどオンライン会議への参加を禁止している店も増えています。もちろん、仕事の情報が外部に漏れてしまう可能性もありますので、やはり会議に参加する場合には他の人に音声が聞こえない場所で行うべきでしょう。最近はレンタル会議室よりも手軽なオンライン会議用のブースが駅周辺に設置されていることも多く、カラオケ店やインターネットカフェなどでは周囲を気にせずにオンライン会議ができるサービスを提供していることもあります。

そのため最近では個別の集中ブースを導入する企業が増えています。オフィス内で周囲を気にせず、静かな場所で作業ができる集中ブースは、オンライン会議への参加環境としても最適です。

まとめ

オンライン会議は「回線速度」「映像や音声の品質」「周辺環境」に注意する
映像や音声の品質は用途に応じた機器を使用する
オフィス内でも気軽にオンライン会議ができる集中ブースが注目されている

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