自然災害などで電源トラブルが生じたとき、瞬時に内部バッテリーから電力を供給し、コンピューター、サーバーなどのIT機器やデータを守るUPS（無停電電源装置）。地震や大雨などの災害が相次ぐ昨今、重要なデータや高価な機器を守るために導入したいものですが、盲点になりやすいのがバッテリー。いくらUPSがあっても、バッテリーが劣化していては肝心なときに力が発揮されません。UPSのバッテリーは定期的に交換が必要です。

バッテリー、こんなときはどうしたら？

バッテリーの交換時期は？

バッテリーの交換時期は、バッテリーの種類により異なります。使用環境（UPS周囲の温度）によって、基準より短くなる場合もあります。

従来品のバッテリー：2.5年※を目安に定期交換が必要
※使用温度が5～25℃の場合。30℃のときは1.7年、35℃の場合は1.2年
長寿命品のバッテリー：交換目安時期の４年※に１回交換が必要
※使用温度が5～25℃の場合。30℃のときは2.8年、35℃の場合は2.0年

長寿命品の交換目安が「交換目安時期に1回」となっているのは、UPS本体の耐用年数が5～6年のため、2回以上バッテリーを交換することがないからです。

APCブランドUPS各シリーズの採用バッテリー

採用バッテリー	交換目安	UPS
長寿命品	４年交換目安時期に１回交換が必要	Smart-UPS LCD SMTシリーズ Smart-UPS X SMXシリーズ Smart-UPS SRTシリーズ APC RS シリーズ APC ES シリーズ
従来品	2.5年定期交換が必要	Smart-UPS SURTDシリーズSmart-UPS RTシリーズSymmetra RMシリーズSymmetra LXシリーズ

バッテリーの型番は？

現在利用中のバッテリーの型番が不明なときは、交換用バッテリーキット型番対応表で確認してください。

＜APCブランドUPS 交換用バッテリーキット型番対応表＞https://www.se.com/jp/ja/faqs/FAQ000017421/

バッテリーの交換方法は？

UPSの機種ごとに交換方法は異なりますが、ここでは例としてAPC ESシリーズについて説明します。

1.UPS本体に接続されている負荷機器のコンセントを取り外します。
2.UPSの電源を切って、商用電源からUPSの入力ケーブルを抜きます。
3.UPSの上下を逆に置きます。
4.本体の下部のバッテリーカバーのリリースタブを両手で押してスライドさせます。

5.本体を横に傾けて、バッテリーを取り出します。

6.＋（プラス）端子の赤いケーブルを外し、電源スイッチを2～3回押して放電します。
7. ―（マイナス）端子の黒いケーブルを外し、バッテリーを取り出します。

8.新しいバッテリーのコネクターの―（マイナス）端子に黒いケーブル、＋（プラス）端子に赤いケーブルを接続します。
9.バッテリーをゆっくりと本体に入れ、バッテリーカバーを取り付けます。
※ リリースタブがしっかり固定されているか確認します。

その他の機種の交換方法は「バッテリー交換手順一覧」で確認してください。
バッテリー交換手順一覧
https://www.se.com/jp/ja/faqs/FA53420/

バッテリーの購入場所は？

シュナイダーエレクトリックの正規販売店で購入してください。それ以外のところで購入すると、有償での保守対応になります。

認定済みのオンライン正規販売店には、バッジが掲示されています。

＜正規販売店一覧＞
https://www.se.com/jp/ja/work/support/locator/apc-online-resellers/

互換バッテリーの使用はOK？

互換バッテリーは純正バッテリーより低価格なところが魅力ですが、こんな落とし穴があるので注意が必要です。

UPS本体との整合性が取れていないため、セルフテストや交換通知機能が正しく動作しないことがあります。
内部構造や安全基準が異なり、過熱、膨張、液漏れなどのリスクが高くなります。
互換バッテリーを使用して故障した場合、UPS本体の保証期間であっても、シュナイダーエレクトリップのサポートは受けられません。

純正バッテリーを使用するとさまざまなメリットがあります。

厳格な品質管理基準をクリアし、突然の障害リスクを最小限に抑えます。また、一貫した性能と期待通りの長寿命を実現します。
UPS本体と適合し、最適な電力供給と正確な残量表示を提供します。
厳しい安全基準に適合しているため、発煙・発火などの危険リスクを大幅に低減します。
UPS本体だけでなく、純正バッテリーキットにも安心の保証が付きます。
バッテリーは産業廃棄物のため不燃ごみとしては廃棄できません。シュナイダーエレクトリックには使用済みバッテリーの回収プログラムがあり、純正バッテリーなら、適切な廃棄とリサイクルが可能です。

	純正	非純正（互換バッテリー）
製品サポート	◎	×
バッテリー品質	◎	△ 低品質やばらつきのリスク
バッテリーの安全性	◎	△ 膨張、液漏れ、異常発煙などの恐れ
UPSへの影響	◎	× UPSへの悪影響等
UPS動作保証	◎	× 保証なし
メーカー無償保証	30日	×

バッテリーの廃棄方法は？

「シュナイダーエレクトリックのリサイクルおよび回収プログラム」にて、送料のみのご負担で回収します。
全国8拠点の送付先で受け付けます。
https://www.se.com/jp/ja/faqs/FA53245/

UPS使用中のバッテリー残量確認

バッテリーの容量が購入時の約50％を下回ると警告が表示されます。このタイミングで交換用バッテリーの購入、交換をおすすめします。

警告サイン

通常、UPSは2週間に1度自動でセルフテストを実施する設定になっています。バッテリー容量が不足すると、警告メッセージで知らせます。

➡「ピーピー」という警告音

➡電源ランプの赤と緑の交互点灯（ESシリーズ）

➡ディスプレイに[バッテリーアイコン]マークの表示

➡赤いランプが点灯したら、バッテリー交換のサイン

一部のモデル（例：SMTシリーズ）には、「バッテリー交換予定日」が表示されます。

手動でのバッテリー容量チェック

【対象機種： SMT/SMX/SRT シリーズ】
本体のメニュー画面から、[Test&Diags（テスト＆シンダン）]を選択し、[UPS Self Test（UPS セルフテスト）]で“Yes”を選び、[Enter]ボタンを押します。

【対象機種：RS/BK/ES シリーズ（BE425M-JPを除く）】
※ PowerChute Serial Shutdown for Personal（無償）を利用
[診断]画面の[診断を開始する]で[セルフテスト]を選択し、[適用]をクリックします。
UPSから、ピーと音が鳴ります。

[ランタイム残り時間]に残りのランタイム時間が表示されます。
※ 表示された時間が短い場合は交換バッテリーを購入してください。
純正のバッテリーを適切なタイミングで交換することが、UPSを安心・安全に使用できるポイントです。
もし、しばらくバッテリーをチェックしていなかった場合は、今すぐご確認ください。