サイバー攻撃、とりわけランサムウェア攻撃はますます激しくなっています。ある日突然データを暗号化して、複合化と引き換えに多額の身代金（Ransom）を要求するランサムウェア攻撃は、攻撃者にとって手軽で成功率の高い攻撃。

相変わらず世界中でサイバー攻撃のトレンドです。もちろん日本企業を狙った攻撃も多数報告されています。そこで今回はランサムウェア攻撃から企業のデータを守り、被害を最小限に抑えるデータのバックアップについて紹介します。

ランサムウェア攻撃は巧妙化している

サイバーセキュリティには、基本的に「予防」と「保護」があります。どちらも不可欠な要素ではありますが、ランサムウェア攻撃の対策としては保護の方がより重要だと言われています。この保護の中心となるのがバックアップです。

サイバー攻撃は日々進化しており、ランサムウェアも例外ではありません。かつては不特定多数を狙う「ばら撒き型」の攻撃が多い印象でしたが、最近では特定の企業を狙った「標的型」が目立ってきています。標的型ランサムウェア攻撃を行う犯罪グループは、企業システムを事前に調査して、セキュリティが甘いポイントを狙って攻撃を仕掛けてきます。そのため、ランサムウェア攻撃からデータを守るためには単純なバックアップでは不十分だと言われています。

また、コストメリットを優先して低価格なNASなどをバックアップに利用している企業があるかもしれませんが、NASやDASへの単純なバックアップは攻撃者が標的として狙っている可能性が高いです。

バックアップ体制で検討すべきポイント

ランサムウェア対策のバックアップとして検討すべきポイントには、次のようなことが挙げられます。

・バックアップ対象
・バックアップ方法
・データの保存先
・データ保存期間

バックアップ対象をユーザーデータとアプリのデータに絞り込んでいる企業も少なくありません。しかしこうしたバックアップ体制は、問題発生時にシステムが完全復旧するまでに時間を要してしまいがちです。中には復旧までに数日を要してしまったというケースもあり、事業継続性を第一に考えるのであれば、システム復旧に必要なすべてのデータをバックアップしておくべきです。

バックアップ方法や頻度は、保存対象となるデータに依存します。毎日バックアップするのと1週間に1回バックアップするのとでは、システム復旧時の巻き戻り地点に大きな差異があるのです。しかし、あまりに大容量のデータを高い頻度でバックアップするのは現実的ではありません。

そのため、保存対象となるデータごとに、バックアップ方法や頻度といった要件を検討することが重要になります。たとえば、フルバックアップは1週間に1回だが、頻繁に更新されるデータは1日1回といった具合です。

また、バックアップ方法と併せて検討しなければならないのがデータの保存先です。最近の主流はバックアップ用のアプライアンスやクラウドサービスの利用ですが、テープなどネットワークに接続しないメディアへのバックアップについても一定の需要があります。また、これらの保存先を組み合わせるケースも多く見受けられます。

バックアップデータの保存期間については、長い潜伏期間を経てから攻撃を開始するランサムウェアの登場によって長くなる傾向にあります。たとえば半年しかバックアップを保存しない企業を狙って、1年間潜伏するランサムウェアが侵入してしまった場合、1年後に攻撃を開始した時にはすべてのバックアップデータにランサムウェアが感染してしまうことになります。

もちろん、こうしたことに備えたセキュリティソリューションと組み合わせて対策すべきではありますが、バックアップは可能な限り長期に保存しておく方が無難です。

データの保存先はどのように選ぶべきか

バックアップデータの保存先については、データがどこに保存されているのかによって最適なソリューションが異なります。たとえば、業務システムの大半がクラウド上にある場合、オンプレミスにバックアップ用のアプライアンスを導入するメリットはあまりありません。バックアップ専用のクラウドサービスを利用し、可能であれば複数個所にバックアップを保存しておくことをおすすめします。

もちろん、すべての企業がシステムをクラウドに移行したいと思っているわけではありません。オンプレミスで基幹システムを運用し、今後もクラウドに移行する予定はないということもあるでしょう。あるいは、ファイルサーバなどを運用しているかもしれません。オンプレミスのデータはバックアップ用のアプライアンスを利用することで、迅速かつ安全にデータをバックアップ可能です。また、二次保管先としてクラウドを組み合わせることで、さらにデータの保全性が高まります。

たとえばバラクーダネットワークス社のバックアップアプライアンス「Barracuda Backup」であれば、データを暗号化して保存するため、ランサムウェアの感染からバックアップデータを保護することができます。また、セットアップも簡単で、ファームウェアも自動的にアップデートするほか、複数の拠点に設置することでバックアップの二重化や遠隔地といったBCP対策も実現できます。また、二次時保管先として国内のクラウドサービスを選択することも可能です。

また、クラウドサービスあるいはアプライアンスを選択する際には、バックアップからの復旧が簡単にできるかどうか、サポートする機能は提供されているかなどを確認するようにしましょう。たとえばBarracuda BackupでVMware環境をバックアップしている場合、LiveBoot機能によってオンプレミスのBarracuda Backupをストレージとして保護対象のVMを数分以内にブート可能です。

いずれにしても、バックアップからのシステムを迅速に復旧させるには、いざという時に備えてオペレーションの手順を確立し、日ごろから復旧のトレーニングしておくことが重要です。

まとめ

・ランサムウェア対策には、データを保護するバックアップが重要
・バックアップの主流はアプライアンスあるいはクラウドサービスの利用
・いざという時に備えて復旧のトレーニングをしておく