情報システム部門は、企業のビジネスをデジタルテクノロジーでサポートするための部署ですが、一方でITインフラに関連するヘルプデスクの役割も担っています。ところが近年、ヘルプデスク業務の負担が大きくなりすぎて、DXが思うように進まないという声を耳にする機会が多くなっているのが事実です。そこで今回は、エムオーテックスが提供する社内のバックオフィス向けチャットボット「Syncpit」を中心に、問い合わせ業務の負担軽減について考察します。

なぜヘルプデスクは情報システム部門の負担になるのか

ヘルプデスク、つまり問い合わせ対応が業務の大きな負担となる最大の原因は、業務が突発的に発生することにあります。通常の業務を行っているところに電話やチャットで割り込みをかける形になるため、担当者は作業中の業務を一時的に中断し、問い合わせに対応しなければならないのです。こうした業務の切り替えは担当者の集中力を途切れさせ、それが業務効率の低下に直結します。

「パスワードを忘れた」「PCがフリーズした」「アプリがエラーを出した」「インターネットに接続できない」など、初歩的な問い合わせが多くなると、担当者は「これくらい自分で解決して欲しい」と思ってしまうことでしょう。問い合わせる側から見れば、ちょっとしたことに感じられるかもしれません。しかし担当者の視点で考えてみると、1日に2件の問い合わせに対応すれば、月間で40件、年間であれば480回の割り込みがかかることになります。1件の問い合わせにかかった時間が10分でも、年間で80時間に相当します。これに業務の切り替えにかかる集中力の低下などを合わせると、その負担はとても大きなものとなるでしょう。

しかし、問い合わせの中には「PCがウィルスに感染した」「デバイスを紛失した」といった緊急度の高い問題も含まれています。そのためすべての問い合わせに対して、後でまとめて確認する、というオペレーションはできません。担当者は問い合わせ内容を確認し、緊急度や深刻度に応じて適切な対応をしなければならないのです。

チャットボットで問題をユーザー自身で解決してもらう

問い合わせ業務の負担を軽減するには、各ユーザーができる限り自力で問題を解決できる手段を提供することが重要です。そのため、社内ポータルにFAQのコンテンツを導入している企業も多いのではないでしょうか。

「Syncpit」は、FAQコンテンツをさらに進化させたようなチャットボットです。「Chatwork」「Microsoft Teams」「Slack」「LINE WORKS」といったビジネスチャットのツールと連携し、ユーザーが問い合わせたい内容をチャットでSyncpitのボットに対して質問すると、チャットボットか解決策を回答してくれるようになります。プログラミングの知識がなくても導入可能で、普段使っているチャットから利用する形式なのでユーザーの技術的な敷居も低く、面倒な使い方の説明も必要としません。もちろん、テレワークでも利用可能です。

マニュアルやFAQを読めば解決できるような問い合わせの大半は、Syncpitが対応してくれるようになります。緊急度の高い問題が発生しなければ、担当者に割り込みをかける必要もありません。

Syncpitは社内で導入している他のクラウドサービスとの連携や、Active Directory（AD）との連携が可能です。やはり相性が良いのは、エムオーテックスが提供するMDM(モバイルデバイス管理サービス)の「LanScope An」との連携です。例えばスマートフォンを紛失してしまった場合、Syncpitのボットに『スマートフォンホ紛失』と入力すれば、LanScope AnのAPIを利用してスマートフォンの位置を特定したり、リモートロックを掛けたり、紛失届を提出したりといったことに、担当者の手を煩わせることなく対応できます。もちろん、会社の営業時間外でもSyncpitやLanScope Anは稼働していますので、夜中や休日でも対応できるようになります。

総務部門でも大活躍のFAQチャットボット

Syncpitは、バックオフィス特化型のFAQチャットボットというコンセプトで開発されているため、情報システム部門だけではなく総務部門など他のバックオフィス部門の問い合わせにも便利です。「住所変更」「休暇申請」「年末調整」といった総務部門で発生する問い合わせについても、Syncpitで対応可能になります。もちろん問い合わせ対応だけでなく、他のサービスと連携して申請業務などもチャット上で完結させることもできます。

情報システム部門や総務部門によく寄せられる質問をプリセットのFAQとして提供してもいるので、このプリセットFAQをベースに自社にあった内容に追加・修正するだけで運用を開始できます。FAQはSyncpitのコンソールから編集することもできますが、csv形式でエクスポート、インポートも可能なので、Excelなど使い慣れたツールでまとめて編集するほうが楽だという人も多いでしょう。

AIを活用して言語の揺れも学習するため、使い続けることでSyncpitはどんどん賢くなります。また、繰り返し発生する問い合わせもFAQに追加していくことで、対応の幅が広がることも考えられます。つまり、ユーザーが自力で解決できることが増えていくということで、情報システム部門（あるいは総務部門）の担当者は、より生産性の高い業務に集中できるようになるのです。

まとめ

・問い合わせ対応という割り込みは業務の大きな負担となっている
・FAQチャットボットを導入すると、簡単な問い合わせはユーザー自身で解決できるようになる
・FAQチャットボットは、総務部門などの他のバックオフィス部門でも活躍する