働き方が多様化し、人々は時間や場所に縛られないで仕事をすることが珍しくなくなりました。しかし、その一方でチーム一丸となって進めるプロジェクトの進行管理がうまくいかないという課題を抱える企業も増えています。そんな企業にお勧めしたいのが、プロジェクト管理ツールです。

なぜテレワークにプロジェクト管理ツールが必須なのか

テレワークを導入したことでプロジェクト管理が難しくなる主な原因は、プロジェクトメンバー間の情報共有がスムーズでなくなることにあります。

チャットツールやオンライン会議だけでは文字や音声での会話だけでは話題が流れてしまい、進捗状況をうまく共有できないという問題がしばしば起こります。

また、Excelなどのスプレットシートで進行を管理し、クラウドストレージで共有するという企業も多いようですが、詳細な情報把握という面に不安が残ります。また、ファイルが簡単にコピーできてしまうため、どちらが最新版なのかがわからないという問題も発生してしまいます。

プロジェクト管理ツールは、チームが同じ目的に向かって進んでいくために重要な情報を共有できる場所です。

大抵のプロジェクトには期限や期間があり、それまでにプロジェクトを構成するさまざまなタスク（作業や課題）をこなさなければなりません。そのためプロジェクト管理ツールでは、現在のプロジェクトの進捗状況（遅れているのか順調なのか）、いま問題になっていることやトラブルを解決するために必要な情報の共有、wikiなどを使ったナレッジの共有、プロジェクトに必要なファイルの共有、ソフトウェア開発案件であればソースコード管理といった情報共有全般をコントロールします。

プロジェクトマネージャーは特定の人物にだけ負荷が大きくならないよう、タスクの担当者を割り振ることが可能になるのです。

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国内シェアトップの「Backlog」

Backlog は、株式会社ヌーラボが提供する、プロジェクト管理システムです。基本はクラウドサービスとして提供されていますが、大企業向けにオンプレミス版も提供しています。

Backlogではプロジェクトのタスクをチームの課題として管理し、「担当者」「期限」「状態（未対応、処理中、完了など）」といった情報を共有します。課題の更新はツール上でも通知されますが、登録しているメールアドレスにも情報は送信されます。

有償のツールですが、利用人数で料金は変わらないため、人数が多いチームでも安心して利用することができます。スタンダード以上のプランであれば、作業の計画とスケジュールが横棒のグラフによって一目でわかるガントチャートや期限までに作業を終わらせることができるのかの指標であるバーンダウンチャートなどの機能が利用できます。また、ワークフローをカンバン方式で可視化することも可能なので、チームメンバーが使いやすいUIを利用可能です。

なお、Wikiやドキュメント管理機能も提供していますので、チーム内で共有したい情報をソフトウェア開発などのプロジェクトで利用する場合には、Backlog自身がリポジトリの機能をもっているため、ソースコードのバージョン管理も可能です。

多機能でカスタマイズの自由度が高い「Jira」

Jira Software（以下、Jira）は、オーストアに本拠地を置くアトラシアンが提供するプロジェクト管理ツールです。Jiraはソフトウェア開発などの現場で支持されることの多いツールで、実際にソフトウェア開発に特化した機能も豊富です。しかし、Jiraはカスタマイズの自由度も高く、それ以外の部門でも広く利用されています。

タスク管理についてはBacklog以上に詳細なステータス管理が可能です。また、カンバン方式、スクラム方式などさまざまな管理方式に対応しており、業種ごとに最適な各種テンプレートも用意されています。ガントチャートやバーンダウンチャートも利用できますし、チームの状況を把握できるさまざまなレポート機能も有しています。

前述したようにソフトウェア開発に関連する機能は豊富で、DevOpsを実践している企業にもおすすめのツールです。ただし、多機能な分だけ使いこなすのに時間がかかると感じるユーザーもいるようです。

導入が簡単なカンバン方式で個人利用にもおすすめ「Trello」

Trelloは、Jiraと同じアトラシアンが提供するカンバン方式のタスク管理ツールです。UIは非常にシンプルでカンバン方式の特徴であるボードの上にリストを配置し、タスクの書かれたカードを張り付けたり移動したりしてタスクを管理します。手軽に利用できることから、システム手帳のかわりに個人のスケジュールやToDoをTrelloで管理しているという人も多いそうです。

また、「Power-Up」と呼ばれる追加機能がたくさん用意されているため、ユーザーは自分たちの使い方に合わせてPower-Upを追加してボードをカスタイマイズ可能です。Power-Upの追加機能は、さまざまなベンダーや個人ユーザーが公開しているので、タイムライン表示やカレンダー表示などの機能を利用することも可能です。

オープンソースソフトウェアの「Redmine」

プロジェクト管理ツールといえばRedmineを思い出す人も多いのではないでしょうか。2006年にJean-Philippe Lang氏が最初に開発したオープンソースソフトウェア（OSS）で、今でも開発にかかわっているエンジニアの多いプロジェクトです。OSSであるため、クラウドだけでなくオンプレミスで利用している企業も少なくありません。

導入の敷居が高いため、情報システム部門に余裕がないと運用すらままならないという敷居の高いツールですが、無料で使えることや、カスタマイズの自由度が高いことなどから、今でも広く支持されているプロジェクト管理ツールです。プラグインもさまざまなものが提供されており、やろうと思えばカンバン方式やスクラム方式での管理もできます。

なお、テクマトリックス株式会社の「Lychee Redmine」のように、導入の敷居が高いRedmineに付加機能を追加したクラウドサービスを展開するサービスベンダーもあります。

制作現場で支持される「brushup」

株式会社 Brushupが提供するBrushupは、プロジェクト管理ツールというよりも制作の進行管理ツールという側面のほうが強いツールです。イラストや動画の修正指示、ドキュメントなどの校正や承認など制作管理に関連する機能が豊富に用意されています。業種に特化したツールではありますが、デザイナー、ライター、制作会社などを中心に最近注目されているツールです。

まとめ

テレワークではプロジェクト管理に課題があると考える企業が増えている
チャットやメールだけで進捗管理することは難しい
クラウドサービスのプロジェクト管理ツールでプロジェクトの進捗状況を把握しよう