NAS（Network Attached Storage）とは、ネットワークにつないで使うHDDやSSDなどのストレージ。オフィスや家庭でのデータを保存、共有するのにクラウドを使うケースが増えていますが、クラウドでの月額料金がかさむ場合や、インターネットの速度に影響を受けない環境で使いたい場合など、NASを選ぶ企業・家庭は少なくありません。

NASを導入する場合に、備えておきたいのがUPSです。

NASが依然として人気の理由

データを保存するには、デバイス内蔵ストレージや外付けのストレージ、ネットワークにつないで使うNAS、クラウドなどの方法があります。企業や組織内でよく利用されているのが、データを共有しやすいNASやクラウドです。

株式会社ダイレクトクラウドが2024年3月に実施した調査「クラウドストレージ利用状況」では、クラウドストレージ52.0％、ファイルサーバー48.6%、NAS 26.2%と、データ保存、共有にはクラウド化が進んでいるという結果が出ています。

利用率はクラウドにかないませんが、NASも依然として人気です。

2010年頃から、クラウドファースト戦略の考え方が進みましたが、その後2020年頃からはオンプレミス回帰の動きが出てきました。クラウドは初期費用がかからないことが大きなメリットながら、料金体系は従量課金制のものが多く、使用量によってはオンプレミスよりも支出が増えてしまうことがあるからです。

また、セキュリティの面でも、クラウドはインターネットを通して利用するため、社内・家庭内ネットワークだけで使えるオンプレミスサーバーやNASよりもリスクが高くなる可能性があります。

このオンプレミス回帰のトレンドから、大容量のラックマウント型NASが人気を集めています。多くの企業で、大容量のNASを利用しながら、日常的に使用するデータのみをクラウド上に保管するケースが一般的になっています。

個人ユーザーも、写真や動画、ドキュメントファイルを保存、共有するためにNASを導入する人が増えています。

NASの利用にはUPSの導入がおすすめ

NASは便利でランニングコストがかからないなどのメリットがあります。その反面、電流の変動に敏感で、もし停電が発生して電源を失うと内部データが損傷するリスクが高まるという欠点も。

近年、落雷や台風、地震などの自然災害、ビルの計画停電などで停電することが増えました。また、過電流や漏電などでブレーカートリップ（ブレーカーが落ちた状態のこと）することもあります。停電によってNASに影響が生じる可能性は高いのです。

2024年のシュナイダーエレクトリック「小型UPSのバックアップ装置の調査」によると、停電時の電源バックアップにUPSを使っている対象機器のなかでNASの割合はサーバーに次ぐ2番目でした。

a. ストレージ系機器（外付けHDD、NAS等）
b. サーバー
c. Wi-Fiルーター、ネットワークスイッチ等のネットワーク機器
d. デスクトップPC、ワークステーション
e. POSレジ、決済端末等店舗向けの周辺機器

NAS利用者は、同時にUPSも導入していることが表れているといえます。

NAS向けのUPSの選び方

NASに合ったUPSを選ぶときには、以下のことをチェックしましょう。

1. 保護対象機器の選択

まず、UPSで保護する電子機器を選びます。

動作停止した場合、ビジネスに大きな影響が生じる機器を優先的に選ぶといいでしょう。NASもデータが破損するリスクがあるため、優先度は上がります。

このとき、該当の機器単体ではなく、システム全体を通して考慮することをおすすめします。

2. 消費電力と保護時間の確認

UPSには保護できる上限があるため、消費電力や保護時間の確認が必要です。

保護対象機器のVA値（ボルトアンペア値）を確認します。機器に添付された説明書や仕様書、該当製品のサイトなどに記載されています。

不明な場合は、該当機器のメーカーに問い合わせるといいでしょう。

保護対象機器が複数ある場合は、VA値の合計を算出します。合計値より大きい容量のUPSを選択することをおすすめします。合計値の1.2～1.5倍程度バッファをもたせるようにしましょう。

また、シャットダウンに必要な時間の目安も調べておきましょう。一般的には10分以上とされています。

3. コンセントの形状と数

コンセントの形状には複数の規格があるため、どれを使っているかを調べ、入出力電源が100Ｖか200Ｖかを特定しましょう。場合によっては、規格に合わせるための工事など事前準備が必要になります。

複数の機器とつなぐ場合は、必要なコンセントの数の把握が必要です。

4. NASとUPSの互換性

接続するNAS、機器のメーカーが提供しているUPS互換性リストを確認しましょう。もし、探しても記載が見つからない場合は、機器のサポートページなどでメーカーに直接確認してください。主要メーカーである、バッファロー、アイ・オー・データ機器、Synology、QNAPのNASは、APC UPSとの互換性テストを実施済みなので、安心してお使いいただけます。

NASにおすすめのUPS

APC UPSでNASに向いているのは「RSシリーズ」と「SMTシリーズ」です。

RSシリーズ

中小規模ビジネス、家庭向けの大容量UPS。自動電圧調整機能（AVR）が付いています。

業務用途として、あらゆる場所、機器にお使用可能です。

オフィス、店舗、故郷施設などで広く採用されています。推奨接続機器は、サーバー、デスクトップPC、NAS、ネットワーク機器。

https://www.se.com/jp/ja/download/document/APC_RS_Catalog_1611/

SMTシリーズ

世界での販売数が2500万台を超えるスマートUPSです。推奨接続機器は、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器。

https://www.se.com/jp/ja/product-range/61915-smartups/#products

NASを利用しているユーザー様のご参考になれば幸いです。

まとめ

・NASは電源トラブルに弱いため、UPSの導入がおすすめ

・NASのスペックに合ったUPSを選ぶことが大切

・APC UPSはNASの主要メーカーとの互換性テストを実施済み